バトルボーンのベータテスト版のえーかげんなダメだし。
「ディアブロ的なハックアンドスラッシュをFPSでやったら面白くね?」という誰もが思いつくけれども実現困難な理想を実現させたのがBorderlandsでありその開発元であるGearboxだから、「LoL的なMOBAをFPSでやったら面白くね?」という誰もが思いつくそれをGearboxが手がけたBattlebornとなるとやはり期待せずにはいられない訳です。
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ほらもう登場するキャラがいちいちかっこいい。
ので喜び勇んでバトルボーンのPC版ベータテストに臨んだのだけれど、少々残念ながら評価としては辛めにならざるを得ない。
楽しかったには楽しかったんだけど。
遊んでる最中はヒャッハー! たーのしー! という気分で走り回れるんだけれども、モニタから離れて現実と向き合ってくるとふつふつ沸いてくるゲームへの疑問がだな。
キャンペーンは面白かったんだけどね。
腕や戦術も必要だけどもそれ以上に装備品の質が求められるRPG的要素故に、最終的にはトリガーハッピーの境地にたどり着くしかないボダランと比べると、残機制やハードコアモードが採用されつつ、ザコにさえそれなりに弱点狙撃のエイミングが求められるようになったりと、その内容そのものは確実にボダランより遊び応えがあって正直「もはや任天堂が次を出してくれるかどうかわからない3Dメトロイドの代替としてはこれが理想ではないか」とさえ感じたくらいなんで。
だからその話はおいといて、退陣戦のバーサスモードのこのへんがもうちょっとなんとかなればなあという感想を垂れ流してみます。
わかりやすさがたりない。
これが問題の根幹を為してる気がする。
ルールやキャラクター性能を単純にしろという話ではない。
こちらの行ったアクションへのフィードバックやレスポンスがわかりづらいなあという話であって、要するに、自分の選んだ行為がどれくらい勝利に貢献したかがわかりづらい。これがわかりづらければ、短期目標がわかりづらく、細かな達成感も得られず、何を楽しみにしてゲームに参加すればいいのかが掴みづらく、つまりはゲームそのものを楽しめない。
例えば、選択した行動でどのくらいの経験値を入手できたのかがわかりづらい。
敵プレイヤーを撃ち倒したことでどれくらいの経験値を入手できたのか。
今大量にミニオンを狩ったけどどのくらいの経験値を入手できたのか。
ゲームにおける大目的とはたいていがチームの勝利であり、その達成のために細かな目標を達成し積み立てていく必要がある。
てっとりばやいのは敵プレイヤーをキルすることである。
バトルボーンはMOBAのシステムを踏襲しLvUPのあるFPSだ。Lvがあがればそれだけ敵に有利に立てる。
だからこそ皆大急ぎでミニオンを壊し、瀕死の敵プレイヤーを見つけてはハイエナのごとく群がるわけだけど、そうやって得た経験値がどのくらいもらえたのか、どっさりもらえたのかちょっぴりしかもらえなかったのかがわかりづらい。
大事な要素なのでもちろん表示されてはいる。のだけど、それも画面左端に小さな白文字でポップアップしてすぐ消えるのみだ。
体感的に、ミニオンを狩るよりも敵プレイヤーをキルしたときの方がたくさん経験値がもらえるーってのはたいていのプレイヤーが気がついてはいるだろうけど、実際のとこ、建築物を購入したらばその料金に応じて経験値ももらえるとどれくらいのプレイヤーが気付いていただろうか。
ひとは目標を達成することで達成感・快感を得る。
そんでゲームというのは勝利という大目標に至るまでに小さな目標を積み上げる必要があり、そしてその一つ一つにそれなりの快感を得ることで「やべー。このゲームたのしー」という気分に浸れるのである。
それがわかりづらいってのはけっこうしんどい。
このわかりづらさは経験値だけに留まらず、バトルボーン全体に偏在している。
・建築物に金を費やした結果、どのくらい勝利に近付いたのかわかりづらい。
・敵ミニオンを倒し味方ミニオンを守ったのがどのくらいチームに貢献したのかわかりづらい。
・敵から今なにされてるのか、どんな戦略をとっているのかわかりづらい。
・敵が今どのくらいのレベルに達しているのか、味方がどのくらい強くなってるのか、彼我の戦力差がわかりづらい。
それら情報は一応、もちろん、画面中に表示されはするのだ。しかしそれが足りているかどうかというと……。
これが例えばBattleFieldだと、行為にいちいちポイントが加算されて、チームに貢献できていると、自分は活躍できていると、すごいわかりやすく示してくれるんだけどね。
キルをとったら、味方を回復したら、戦車を修理したら、 敵の位置がわかるレーダーを設置し、その範囲内で味方が敵をキルしたら、等々様々な勝利に貢献できる行動に細かくポイントが加算されて画面中央下部のそこそこ目立つけれどゲームの支障にはならない位置にしっかり表示される。
このポイントを目当てで動けば、自動的にチームの勝利にも繋がるという仕組みだ。わかりやすい。
実際んとこ、獲得した経験値がもっとわかりやすく、それなりに頻繁に表示されるだけでもフィーリングがかなり改善されると思うんじゃが。
建設したタレットがミニオンを倒した際、タレットの建造者に経験値が入るなりパーティに分配されるなりのもっとわかりやすい表示があればプレイヤーの動き方ももっと目的意識が生まれるじゃろう。
とはいえ、現時点でも画面内の情報量の多いゲームではあるんで難しいところかも知れない。
選べる戦略がとぼしい。
もっと端的に言うと「建造物をもっと強くしてもいいんじゃねーの」てことなんだけど。
特に、侵入ルールの方だとそれを強く感じたなー。
マップがそれを意図してるようにも感じたけれど、縦に長いマップの中央地点て両陣営が激しくぶつかり合い、戦局が膠着してしまう。
一応は側面から挟撃や不意討ちは可能な抜け道は用意されてるんだけど、ゲームの仕様として各プレイヤーの耐久力がそこそこあるんで、裏取りやアンブッシュをしたところで殺しきる前に気付かれて、かえって多勢に無勢な状況になってしまう。
だから正面衝突でずっと撃ち合い続ける意外の行動はだいぶ博打で、MOBAという割にはいまいち戦略性がなく、フツーのスポーツライクなシューターと大差がない。
一応、その均衡を破る手段は用意されてて、でっかいミニオンを召喚できたり傭兵を雇えたりはするんだけど、こいつらは基本カタいだけであんま戦力になってくれない上に、縦長で侵入経路の限られた前線に真正面から突っ込んでいくだけなんで、敵としても味方としてもいつもとやることは変わらず「前線に火力を集中させる」以外なんも起きず、ゲームに変化が生まれない。
均衡が崩れづらいのに加えて、逆転が起きづらいという仕様もまたマイナス点だ。
Lvで差が付けばそれだけプレイヤー間の有利不利が生じてしまう。その割に「正面からぶつかり合うのが最善」で「博打を打ちづらい」のと「裏取りをしてもプレイヤーが硬いんでキルしきれない」という仕様のために、時間制限めいっぱいの三〇分をずるずると遊び続けるだけという状況になりがち。
いっそもっとスピーディに、LvUPによる戦力の増強っぷりがドラスティックで、ずがーんと有利不利が生まれていっぺんに勝負が決まるような仕様のがいいんじゃねえのと何度も思った。
溶解ルールはそのへんだいぶマシで、単純に遊ぶ限りじゃ溶解ルールのがずっと楽しかったな。
Lvのもりもりあがった近接キャラから逃げ回りつつ敵のミニオンばかりひたすら狩ってたらポイントが均衡してついに逆転してー、みたいな展開がだいぶあったし。
無責任におもいつく解決策としては、もうちと建造物を強くするとか、グレードアップしたときの性能をもっとあげるとかしつつ、正面衝突の起きるホットスポットのど真ん中とかいい具合な位置にそれを設けて、最初の戦略としてこの建造物の奪い合いという目標を設けるのが手っ取り早いのではなかろうかと思うのよね。
実際、溶解ルールだとミニオンの通り道正面にあったタレットがかなり仕事をしてくれた印象がある(これも前述の「わかりづらい」という問題のせいで印象でしかないんだけど。
そうすりゃ、対人戦は苦手だけど金(シェード)を稼ぐため走り回ります! あるいは、もう敵にLv差で手に負えないヤツがでてきたから建造物にリソース割くしかねえよ。みたいな戦略も生まれるしさ。
でも敵プレイヤーに殺されるのはまだしもNPCな砲台にやられてもストレスが溜まるばっかりじゃねーのと予想もできる。
難しいところだね。
近接キャラつよすぎじゃね。
これはおれがへたなだけというかのうせいもある。
という可能性もあるんだけど、侵入・溶解の両ルールとも、対人戦の他にミニオンの駆除というのも大事な要素になっている。
その点に置いて、瞬間的なダメージ効率のよい近接キャラはミニオンを潰すのも得意であるし、一度近付きさえすれば確実に相手をキルしきれる近接キャラは対人戦においても猛威をふるう。
もうちょい戦略的な話をすると、護衛・駆除すべきミニオンは移動ルートが一定だから、そのゲームルールに従う限りは必ずどこかのタイミングで近接キャラと対峙せにゃならなくなる。ミニオンをほっぽって逃げるという選択を相手に迫れる時点で近接キャラは優位に立てるのだ。
単に近接キャラをNerfしてくれりゃそれで済む話な気もするけど、という一方で、もうちょい他キャラの味付けの方向を殖やしてみるのもいいのではなかろうか。
例えば「撃ち合いは苦手だけど建造物やミニオンならもりもり壊せるぜ!」みたいなキャラとか
「対人戦は得意ですが器械オンチなんで建造物の建築に余計なコストがかかります」みたいなキャラとかさ。
いくつか確認できたギアには「建造した直後数秒間体力回復」的なのもあったけど。
そもそもオレンディちゃんがそんなキャラだったようにも感じる。当てるのが難しい各種攻撃も動く方向の定まってるミニオンだのそもそも動かないタレットにならどっかんどっかん当て放題で瞬間蒸発ー! みたいな。
まあこれもあんまし極端な味付けをしてしまうと、チームでのバランスをとるのが難しくなるけどさ。
そのへんはあの、LvUPで選べるスキルの選択でプレイヤーに選ばせるとかそういう方向でどうにか。
・等々と。
実際のゲーム制作にあたられる方々の苦労や試行錯誤とかガン無視で文句ばかり書いてみたけれど。
最初に書いたとおり、遊んでるときの感触はいいんだけどねー。もう少しツメまできっちりしてくれるよう期待せざるを得ないというか。
そのへんに関しては、ベータテスト真っ最中にキャラバランスの調整を入れたりとか、さらには試験的なランクマッチの導入だとか、対応や改善への姿勢に対しては十分な期待が持てるのではないでしょうか。
話を聞くにクローズドベータの頃に比べると劇的に改善してる部分がけっこうあるって話だし。
ともあれ、大量のアドレナリンと引き替えに睡眠時間をごっそり奪っていくような、そんなゲームに仕上がってくれるよう期待したいところです。