バーチャロンのオラタンの裏設定まとめサルベイション。
とある魔術の電脳戦機の体験版が配信されましたねひゃっふー。
触ってみた感じ、ゲーム内容に関しては「オラタンと似通いながらも新機軸の軽快さ」「実際んところは対人戦やってみんとわかんないよな」「効果音など改善を期待したい余地はある」くらいにまとめられますが、何よりも、チュートリアルでテムジンを前後左右に歩かせた時に不意に「あ……新作だ。チャロンの、新作なんだ……」つって目頭にくるものが少しだけありました。少しだけなッ
限定版の予約を済ませたところで発売はあと二ヶ月も先。
体験版という格好の餌はあたえられたものの手持ち無沙汰。
なので、同じく、オラタンのXBOXへの移植が急遽決定された際に配信開始を待ちわびつつだらだら思いだし書きしてみた「オラタン裏設定まとめ」を掘り起こしてみます。ちょこちょこ書き足しや訂正はあるものの基本は10年近く前の文章だぜひでぶ。
おおむね公式設定です。おおむね公式設定ではありますが、それを私個人とかいう頼りにならんフィルターを通した文面だとご理解ください。
ついでにオラタンまでの設定だし、最新作の分までは追いかけ切れてないので、鵜呑みは厳禁で。細かい設定も結構上書き気味に改訂されてたりすんのよね。
出典は「スキマティック」「真実の璧」「ワンマンレスキュー」あたりから。
どれくらい今作のとある魔術の電脳戦機とリンクした設定かはわかりませんが、要するに「平行世界を自由に行き来できる能力」を争奪し相争うお話がバーチャロンのオラタンなので、その経路でとあるシリーズとリンクしているのでありましょう。たぶん。
同じく発売を待ちわびてツインスティックでイメージトレーニングに励まれる方。もしくは禁書勢でチャロンの設定を全然知らないけど今更それら文献を当たるのは大変そうーだとか、PS4の特典で付いてくるであろう設定本の解読の一助など。
要するに、暇があって潰したい方向けに、どうぞ。
予備知識
電脳歴:
バーチャロンの世界設定。地球文明の未来の姿。
資本主義が推し進められた結果、国家という概念は事実上消滅し代わりに企業群があらゆる社会活動を統治している世界。
人倫よりも企業倫理・利潤こそが優先される世界というのもなかなかディストピアっぽくはあるけれど、それの結論として人類社会は太陽系外への進出を放棄し、やがて潰える資源のみを糧に、閉ざされた未来という安寧のなかで相応に享楽的で退廃的な生活を送っているそうな。
限定戦争:
戦争ってのは結局、政治における外交手段の一種でしかない。
そう考えてみると、資源の濫費や大量破壊を呼ぶ戦争なんてのはナンセンスな手段に過ぎない。
地球のみの資源で生きると決めた電脳歴の人々にとってはなおさらだ。
それなのに、大量消費による経済効果・政敵排除の手段・イデオロギーの主張・あるいは原始的闘争心の解消手段などなどで「戦争」という行為は常に「需要」があり続けた。
その結果に産み落とされたのが「限定戦争」
ショウビジネスとしても成り立つように協定や規定が整備され、スポンサーに雇われた傭兵や企業の私兵集団が代理的に闘争を行い、それを大々的に放映する。
歪な命のやりとりだけど、地球圏で最大の興業効果をあげててほんと大人気らしい。
まあ、ローマ時代にも剣闘士が見せ物の殺し合いしてたし、そんな感じなのだろう。
月面遺跡:
人類が地球外進出をまだ夢見ていた時分に発見されていた、月の裏側になんかあった遺跡。
どうやら太陽系全体にまで規模を広げていた文明が人類よりも先に存在したらしい。
Vクリスタル:
月面遺跡の中核をなす物体。機構。
人の精神に直接作用し、強制的に植物人間にしてしまう恐ろしい存在。
しかし遺跡の解析に携わった研究者らは、この現象を「どこでもドア的な作用が中途半端に発現した結果なんじゃね……? つまり解析がうまく行けばどこでもドアを作れるんじゃね?」と解釈。研究を進める。
Vクリスタル質:
遺跡の壁面等から採取される、Vクリスタルの性質をわずかに備えた何か。
なんなんだろ。あんま具体的に描写されたところがなく(?)、塗布するーとかいう描写があるあたりなんかこう、ペンキみたいなイメージがあるけど。
バーチャロイドを製造する為に必須の資源であり、Vクリスタルの存在するところからしか採取できない。
M.S.B.S.:
マインドシフトバトルシステムのこと。
限定戦争は需要を増し続け新たな兵器も開発され続ける。けども結局それを使うのは人間だ。
新たな兵器は新たに使い方を覚えなければならず効率が悪い。
それならば、操作をすげー簡単に、例えば思った通りに操作できるように人間の精神に直接繋がるOSを開発できればすげー儲けられるんじゃね?
という目論見で着手されたものの完成には至らなかった。
この、精神に直接作用ーという部分をVクリスタルによる植物化現象への対抗処置として転用できないかという研究が進められた。
しかしその結果……。
リバースコンバート:
Vクリスタルに対抗する為の処置とM.S.B.S.の作用とが高負荷に達した際に発生した現象。
具体的には、M.S.B.S.がそのデータに残していた兵器が突如としてその場に出現した。
どこでもドアを作ろうとしてたら取り寄せバッグが出来ちゃったみたいな展開ではあるものの、検証の結果この現象には限界があり、
・物理法則を越えたものは出現させられない。
・元々が兵器用のOSであるせいか、兵器に近いものしか実体を保てない。
ともあれ研究者たちはこの現象を「リバースコンバート」と名付けたものの、彼らの目的はあくまで月面遺跡の解析である。
兵器なんぞ知ったこっちゃない。
しかし、研究者とは常に出資者がいるからこそ仕事をしていられる。
出資者は金になるものにしか興味がない。
バーチャロイド(VR):
月面遺跡の研究機構のパトロンであるDN社が、彼らの発見したリバースコンバートを利用し開発させた新兵器。
以下の動画は、それが行われている様子。で、いいんだよね?
リバースコンバートは兵器でさえあるならば多少は突飛なものでも出現させられる。しかし既存の兵器を出現させるのではあまりにもコスパが悪い。
ならばどんな兵器を作り出すか……その結論がコレである。
限定戦争はショウビジネスでもある。派手であれば派手であるほど客受けがよい。
つまり、いわゆるロボットであるVRは素晴らしくおあつらえな限定戦争向け商品。
市場を塗り替えうる新たな商材と目され、それら経済効果を独占すべくDN社はその技術を秘匿し開発を続けていた。
けれども。
DN社:
月面遺跡を研究する連中のパトロンであり、その途上の研究結果を成果物だとばかりに飛びつきバーチャロイド(VR)を開発した。
電脳歴の地球で結構な地位に鎮座する大企業。 であったが、VR の開発に伴うオーバーテクノロジーの不用意な乱用により、月面遺跡に存在する巨大兵器「太陽砲」の発動を引き起こしてしまい、それら責任を取らされて解体の憂き目にあう。
ディフューズ・アルフレート・ド・アンベルⅣ:
人物。複数の企業国家の大株主。途方もない気まぐれさで知られているらしい。
ただでさえ資本力がそのまま力関係な企業国家の支配する世界において、それの大株主という存在の権力とかもうどんなんなんでしょうね。
「太陽砲」の存在を察知し、月面遺跡の調査開発中止をDN社に訴えるももはや遺跡の存在意義をVR開発としてしか見なしてないDN社はこれをガン無視。
するとアンベルさんは、途方もない財力にモノをいわせてDN社最高幹部の一員となった。それで何を始めたかというと……9つのプラントを買収・VRの開発製造を委託などすさまじい辣腕でVR販売プロジェクトを推進し始めた。
支離滅裂だ。さっきまで「月面遺跡の開発中止」を訴えていたのに。
そしてその意図不明の行動の極みとして、VR販売プロジェクトの達成間近にこの9つのプラントを突如として破格で売却し、失踪を遂げる。
社を挙げて、世の中変えるつもりで準備してたプロジェクトが急に売却されたのだ。DN社の陥った窮地と混乱は察するに余りある。
その直後に太陽砲が発動する。
太陽砲:
突如として月面に観測された巨大エネルギーの中心にあるとされたもの。
それは旧文明の遺した巨大兵器であり、よりにもよってそれが地球を照準し発動しようとしているらしい。
OMG:オペレーション・ムーンゲートの略称。
太陽砲の破壊を目的とした作戦名称。先のアンベルⅣの投げ売りにより月面遺跡の調査結果なども漏洩し(漏洩どころでないダダ漏れだが)結果、DN社はこれの引き金を弾いたと全人類から糾弾を受ける。
DN社はもはや猶予ならず、秘匿していたVR大隊でもって月面遺跡の破壊を命じた。
一部企業の利益追求の結果に地球人類まるごと存亡の危機に陥った。
その先兵がバーチャロイドである。彼らの登場は、決して望まれるものではなかったのだ。
FR-08:
第8プラント・フレッシュリフォーのこと。
「プラント」ってなんやねん。という問いにあらかじめ答えておくと……確かバーチャロン公式にもあんま説明されてない概念だから不確かかもしんないけど、だいたい「企業国家」と読み替えればいいみたい。国家だけど企業だから技術開発や製造もするし、国家だけど企業だからもっとでかい企業の傘下に置かれたりもするし、企業だけど国家だから軍隊持ってるしプラント同士で戦争をしたりもする。
で。 第8プラント・フレッシュリフォー。
DN社現存時は月面遺跡の調査に共同参加するプラントに過ぎなかったが、
DN社の瓦解に際して迅速に立ち回り、VRの開発を担当されていた9つのプラント全てを自社傘下に納めた。
アンベルⅣが突如として(破格で)売却したプラントを(破格で)購入し直したのである。
火事場泥棒と呼ぶのはあんまりだけど。
VR開発に関しても引き継ぐ形となったが、太陽砲発動の遠因と疑われるVRに商品価値を認めず、傘下に納めたプラントの多くにVR開発を禁じた。
などなど何かと高圧的なやり口が特徴みたい。
事実、その腕力にモノを言わせた強引な廃統合の結果、例えば、遺跡開発を専任していたグループが獅子身中の虫として紛れ込んでいたり、あくまでVRの存在意義を求める層も根強く存在していたり、VRも限定戦争も所詮はただの投機対象としかみなしていない層もあったりなど一枚板でなく端々がキナ臭い。
DNA:
DN社直属の傭兵集団。それ故に、VRを優先的に供給され、限定戦争市場に新たな経済効果をもたらすべく先陣を切る最新鋭戦闘集団。
と、なるハズだったんだけど。OMGの煽りを食らってDN社は倒産。
運用権を受け継いだFR-08はVRに商品価値を認めず、それを大量に持つDNAを不良在庫山積みの廃倉庫みたく見なしていた。
それは事実でもあったのだ。
彼ら唯一の資産であるVRは、太陽砲の事件云々がなくとも「商品」として扱いづらいものだった。なんせ「強すぎた」。
だって、VRなんてDNAぐらいしか保有してないもん。例えるならガンダムで戦車を蹂躙して回るようなもんでしょうか(助けて西住隊長!
一方的なワンサイドゲームばかりでは興業として台無しだし、対戦相手だって見つからない。
事実上のおまんま食い上げ状態。風前の灯火と呼んで差し支えナシ。
RNA:
OMGの終結、FR-08の台頭の後、限定戦争市場に突如として現れた謎の戦闘集団。
DN社が開発技術を独占・秘匿していたはずのVRを有し、しかもDNAに配備されたそれよりも遙かに高性能な機体を揃え、我が物顔で戦場を蹂躙した。
対戦相手の都合なんぞ知ったこっちゃねー。限定戦争の戦場に呼ばれてもないのに現れてはガンダムで戦車をなぎ倒すようなマネをしでかす。
どこに所属している兵隊かも明らかではない。単なる荒しだ。
所属が不明ならば目的も不明である。
ただ、彼らと接触した兵士は「何かを探しているそぶりを隠しもしなかった」と語り、
また彼らに捕らえられ尋問を受けた兵士は一様にいう。彼らはこう問いただしてきた。「お前はタングラムを知っているか?」
それに回答できた兵士は一人としていない。
鮮烈なその登場はFR-08にも衝撃を与えた。
秘匿されていたはずのVRを所有してたってこたー情報や技術、Vクリスタル質などの資源までもが漏洩し、勝手に開発している連中がいる。或いは内通者が居て横流ししてやがるってことだ。
FR-08はこの事態を重くみた。
その一方で、現実的な商人でもあるFR-08は同時に商機を嗅ぎ取っていた。
大企業の忘れ形見DNA vs 謎の最新鋭戦闘集団RNA
その単純な対立構造はまさしく限定戦争市場に最適な広告効果を持つだろう。
何よりも、ついに、ロボットvsロボットという巨大兵器同士の対戦が成り立つのだ。
これら判断によりVR開発禁止令を部分的に解除。傘下のプラントへRNAのVRに対抗しうる第二世代VRの開発を発布する。
と。ここまでが下地の設定。
以下からやっと各機体設定。
テムジン:
DNAを代表する機体。
上記の通り、限定戦争は見た目の華美さも重視される市場。
なので、ただ勝ちゃいいってもんでもなく相応の派手さを持ち、
そしてDNAを、ひいては FR-08 を体現すべくクリーンで勇者ーで正義ーなビジュアルイメージを持つ機体の開発が求められた。
サーフィンラムなどド派手な攻撃を持ってるのはそれら効果を持たせるためだそうな。
OMG時代の傑作機・テムジンを継承すべく開発を求められたが、
要求水準の高さ故に完成が遅れに遅れた。
その為、戦場への投入が急がれ、オラタン時代に配備されているものは一応の完成品であるものの、搭載された機能の大半を活かしきることが出来てないらしい。
無論、完成が遅れた、ということは第二世代のなかでも後期に開発されたということで、戦場でリアルタイムに可変するスライプナーといい極めて良好な運動性能といい、機能を部分的に凍結されてはいるものの完成度は高かった。
このテムジンの完成は、とある少女に一つの決意を促すことになる。
ライデン:
OMG時の(旧)ライデン製作における、事務上の大失態からハブられてたプラントが製作。
どういう失敗かというと単純な発注ミスがどかどか重なったあげくにむちゃくちゃ高価な機体になってしまい……という話は後述しよう。
彼らは、ハブられっぷりをいいことにFR-08により禁止されていたVRの研究を勝手に続行していた。無論それはVRの可能性を信じてのことだったのだが。
それが実り、他プラントから先んじてDNAサイドとして初の第二世代型VRとして完成することになる。
高出力を礎にしたレーザーや豊富な武装に堅牢なボディはRNAへの対抗策として確かな功績をあげた。だが、この成功に増長した彼らは、ハブられていた頃の損失を埋めるためにFR-08の用意した販売ルートから逸脱し、あろうことかRNAにさえばんばんライデンを売却をしてしまったため、このライデンを開発したプラント(後述)はFR-08の判断により潰されてしまう。
(一人プレイ時、タングラム戦の前に戦うライデンステージがその潰されたプラントの名残だったりする)
フェイ・イェン・ザ・ナイト:
RNA開発の第二世代VR。RNAはどこからかOMG時代のフェイイェンを入手し、
それを独自に解析し第二世代フェイイェンを開発したらしい。
つまり、オラタンに登場する全VRの中でも一番最初に開発された機体てことになるけれど、配備数が少なく、確認されたのはずっと後のことだそうな。
希少であり高価でもあり多くは配備されていないいわゆる指揮官機。
なので、フェイイェンの配備をみた一般兵は「自分が重要な戦闘に参加している」と認識し得たため戦意昂揚に繋がったとか何とか。
ハートビームはなんでそんな形になるのやら正直よくわからんらしい。マジか。
ハイパーモードに関してもなんでそんな現象が起きるのやらわからんらしい……けど、これには一応仮説はあるっぽい。後述。
アファームド系列:
RNAサイドの主力VRであり、RNAの象徴そのものでもある機体。
RNAとの邂逅はアファームドとの初会敵でもあった。
当時のVRとは比較にすらならない性能故に「第二世代」との呼称を始めて得ることになったVR。
機動力・装甲ともに優れ、しかも汎用性に富んだ機体構造により様々な装備が可能。戦況に合わせ多くの派出機を生んだ。
バトラー、ストライカー、コマンダーの他に、ゲームには出演してないけれどアタッカーやディスラプター等々色々いるみたい。
・ストライカー
いわゆる火力支援型。その癖に機動力は標準以上あるという用兵上の利点が高すぎる機体。
・コマンダー
戦場ではアファームドは5人一組での活動が基本であったそうで、そのための統合通信装備を施されたいわゆる指揮官機。
シンプルながら信頼性の高いランチャー、白兵戦を可能にする実剣のマチェットという主戦闘型な装備による柔軟な運用は、同じく主戦闘型であるテムジンが登場するまで散々DNAを困らせたらしい。
・バトラー
時代が進みDNAサイドにも第二世代型VRが配備され始めると、少数精鋭であるRNAは苦戦を強いられるシーンも増えてきた。
そのため、問答無用の機動力で敵陣に切り込み一撃必殺で敵機を沈めて数の不利を無効化する白兵戦特化型の装備が実用化された。
それがこの燃える男のトンファーキックことアファームドバトラー。
ボック系列:
DNAサイド開発の火力支援型VR。
「テムジンは他プラントに開発依頼したし、ライデンできたし、安価な支援型VRよろしくね」
「テムジンの開発が遅れているのでそれまでの繋ぎとなる主戦闘用途に耐えうるVRを」
「ライデンがRNA側にも売却されちゃってんだから、それ以外の高火力VRも必要じゃね?」
「RNAのアファっていいよなあ。装備が換装できて。あれに似たのが欲しいなー」
「ライデンは強いけどメンテがまじ困難ー。もうちょっと楽にさせてくれー」
等々等々。DNAサイドの新VRの開発が急がれる故にやたらと多くなってきた注文を一気にまとめ上げて見せたという技術者の意地のような機体。
ボックという小型VRに、各種兵装を乗っけることで多くのバリエーションを生むことに成功したーという設計。
カトキさんのデザインコンセプトは「二人羽織」とのこと。
その苦労が実り、ボック系列は第二世代VRで最も多く見られる機種となったらしい。 いわゆる量産機というか、汎用機というか。
・グリス・ボック
ボックにグリスユニットを換装した機体。
大量のミサイルによる火力。十分な機動力。堅実は作りは故障も少なく実弾なので整備も楽ちんと大好評。
て事でかなりの量産を受け、どっさり居るボック系列の中でも更にポピュラーな機体となったとか。
上述の通り優秀な機体ではあったものの、優秀過ぎて、大量に配備されたグリスボックがアウトレンジから一斉にミサイル撃ちまくって撃ちまくって撃ちまくってはい決着ーとかいう戦場もたくさん出ちゃった為に諸々不評をかったりもしたらしい。
・シュタイン・ボック
ボックにシュタインユニットを換装した機体。
戦役が拡大するにつれ戦線も拡大。その結果、弾薬の補充や費用繰りが困難になることも多く、そのニーズに合わせて製造された光学兵器ユニット。
バッテリーと整備さえ十分ならレーザーだけでばりばり戦えまっせーという機体。
サイファー:
Dr.アイザーマンというマッドなサイエンティストの手になるVR。
OMG時代からバイパー系列を基調とした様々な研究を重ねていたが、太陽砲の発動などを起因としてVRの開発が禁止された。
それに反発。軍人と接触しクーデターを起こし、プラント一つ占領して開発研究を続けたというスゲエひと。
その結果に生まれたサイファーは、変型機構を有し、遠方からの一撃離脱、あるいは威力偵察などを可能とし、 VR運用を戦術レベルで一変させる画期的機体となった。
ひとよんで「飛翔する殺意」 アイザーマンさんちょっと趣味に走りすぎじゃないですかね。
なお、その後アイザーマンはもちろんFR-08から睨まれることになるけれど、したたかにも「サイファーの優先的供給」を条件にRNA陣営へと逃げ延びた。
ドルドレイ:
RNAサイドの機体。
ライデンにボックにと、射撃に優れたVRがDNA陣営に配備され始めると、白兵戦による決定打を基本戦術としていたRNAは苦戦を強いられる場面が増えてきた。
近接戦に持ち込めば勝利は確実だけど、特にボック系列はかなーり安価だそうで、数にモノを云わせた火力によって接近が困難。
なので、これら火力に対抗しうるVRの開発が求められた。
その結果として生まれたのが圧倒的重装甲を持つドルドレイ。 とにかくしぶとく敵の攻撃をはじいてはじいて無理矢理叩き込む削岩機の一撃。
ところで重装甲はいいんだけど……なんでドリルなん。なんで火炎放射なん……? というやたらと独特な装備である理由は、初投入の戦場(オラタンの洞窟ステージ)に合わせ急ぎ開発された結果との次第。
バル・シリーズ:
DNAvsRNAの構造を利用してバーチャロイドの商品的ニーズを喚起する。というFR-08の目論見は概ね成功したけれど、
しかしその操作系統は煩雑なまんまだった。商品なのだからもっと扱いやすくする必要があるし、それにそれらを統合する新OSの開発ができればがっぽがっぽ儲かるよな。
との判断のもと、OSであるM.S.B.S.の 新バージョン、Ver.5 系列の開発が急がれた。
で。開発にはそれを実際に起動させるVRも必要。その結果に生まれたのがバル・バドスだそうな。
(たしかにフォルムだけみるなら一番普通な人型だよなバル)
ついでには、総合OSには高い汎用性を求められる。バルが水中ステージやタングラム戦などで特殊な装備をしているのはそのおかげというかなんというかみたい。
あくまで試作OSのテスト機なので、当初武装は有していなかったが、市場投入にあたってこれまた試作器であるE.R.L.をあてがわれた。
E.R.L.の操作は複雑なので、それの統合もまたM.S.B.S.に求められることなので丁度良かったみたい。
結果、バルシリーズは第二世代VRの中でも最後発に位置することとなり、その為やたらと斬新・特殊な戦闘スタイルになったとか。
確かにまあ、あの空中ダッシュとか、人体の可能性を追求した全身運動には違いないものの。
10/80:
テムジンの量産機。しかもOMG時代のテムジンの量産機。 ガンダムのことはよく知らんのだけどおおむねジムと思ってまちがいない。
だから背負ってるのもドリキャスじゃなくてサターンだったりする。
バーティカルターンができなかったり空中ダッシュができなかったりするのも旧世代の量産機が為。
RNAに遅ればせながらもDNAも第二世代VRを開発・配備できた結果、お役御免で順次退役していくはずだったけど、
ボック系列の開発に成功したプラントはこれにより巨利を得て、FR-08から睨まれ、イヤガラセとして量産機の再開発を強要されたっつー背後関係。
いまさら旧世代のVRなんざ量産してもなあ。
とは誰もが思ったけれども、DNAサイドの第二世代VRの開発はおおむね難航してたので、それの間に合わせとして数にモノを云わせたそれなりの戦果をあげたりもしたらしく、結局オラタン時代にもその姿が結構みられるらしい。
スペシネフ:
これまたマッドサイエンティスト、Dr.アイザーマン開発のVR。
「怨恨呪詛的暗殺機体」と公式に号されている。怨恨で呪詛で暗殺機体である。
VRは現在の技術では解明しきれない部分を多く抱えたオーバーテクノロジーによって開発されている。
それ故に、VRの動力(みたいなモン)であるVコンバータ(VRが背負ってるドリキャスのこと)にパイロットの精神が取り込まれるなんてとんでもない事件が多発した時期もあったけれど……スペシネフはその、パイロットの精神を取り込んだVコンバータの再利用によって開発されているっつースゲエ機体。
具体的には、スペの背中の羽根がそれを利用した部分だそうで、パイロットの憎悪を増幅させ、VRとのシンクロ率を高め戦闘力を高めるといった効果があるそうな。
(この機能を敵に向かって照射すれば、逆の効果がでて武器が一定時間使えなくなったりする)
過度の利用は敵味方双方の精神に甚大な悪影響を及ぼす故に、現在は規定によりリミッターが施されているらしい。
しかし勝利を渇望するあまり、このリミッターを解除してしまうパイロットが一部確認されている。
解除によって得られるのは通常兵器では破壊不能なまでの耐久力。しかし解除からおよそ「13秒後」に、例外なく、VR・パイロットともに激しい自壊現象を起こすそうな。
エンジェラン:
AJIM現象と呼ばれる問題があった。
限定戦争戦域に突如としてクリスタル体のような存在が現れ、
敵、味方の区別無く、特にVRを目の敵にして破壊し蹂躙して回る恐るべき現象。
戦役の拡大にともないこのAJIM現象が確認される機会も増え、対策が必要となってきた。
これへの対抗策として生まれたのがエンジェラン。
なんだけど。一言で説明するのがちょっと難しいな。
ちょいと新たに用語解説。
プラジナー博士:
DN社が健在だった時分、VR開発の先陣を切っていた天才科学者。
独自の研究を重ね、VR開発のみならず月面遺跡のもつオーバーテクノロジーの解明にまで迫るが、謎の失踪を遂げる。
彼の遺したオリジナルVRをみるに、なんつーか、けっこー「いい趣味」をしてたっぽい。
オリジナルVR:
二つの意味がある。一つは、月面遺跡にて発見された遺物のこと。
もう一つは、プラジナー博士の遺した、極めて完成度の高い、もはや博士以外には設計・製造が不可能なまでの、もはやオリジナルと呼ぶほかにないVRのこと。
現在は「VR-11ガラヤカ」「VR-14ファイユーブ」「VR-17アイスドール」の三体が確認されている。
オーバーテクノロジーの解析により得られた技術を惜しみなく注がれたこれらVRは、人間となんら遜色のない人格を持ち、そしてVRの枠に留まらない様々な能力を有している。らしい。
ファイユーブ:
オリジナルVRのウチ一体。別称「オリジナル・フェイイェン」
その名の示すとおり、OMG時代のフェイイェンは全て彼女のレプリカとして製造された。
好きな場所に転移できて、好きな姿に自分の背格好を転写できるというすげえ能力を有すけれど、その力と、少女然とした人格が災いしたというかなんというかでその力を解析しようとする人々の前から失踪を果たす。そのキャラクターはかつて発売されたチャロンのドラマCDや、スパロボとのコラボ先等で確認できる。
フェイイェンの持っているハイパーモードという機能は、このオリジナルフェイイェンの持つ成長機構が歪んだ形で発露したもの、とする説がそれなりに有力。
アイスドール:
オリジナルVRのうち一体。
月面遺跡にて確認された「V-クリスタル」の複製を与えられ、ほぼ無尽蔵のエネルギー供給を可能としているすげえ機体。
なんだけど、ファイユーブの失踪を受け、彼女もまた喪失してしまうことを恐れた科学者達により強制的に監禁・凍結状態にあった。
AJIM現象に対抗を目し、その技術を解析するため再起動された。
フェイイェンがすべてオリジナル・フェイイェンのレプリカであるのと同じように、
エンジェランもすべてオリジナル・エンジェランのレプリカなのだそう。
エンジェランは携えた杖により間接的にアイスドールからのエネルギー供給を受け、これにより龍を召喚したりだの氷柱を形成してみたりだのの変則的な戦い方ができるそうな。
高度な技術は魔法と見分けが付かんとかいうアレだけどももはやそういう話でさえない。
それが何で氷なのかは不明。「永く不本意な監禁を受けていた彼女の凍てついた心が何らかの形で発露しているのでは……」という説が有力視されてはいるらしいんだけれども真顔でいってるのかなこの説。
AJIM現象が、VRに引き寄せられているのは確かだ。
ならばその対抗策はVR開発の源泉にあたるべきでは。という名目で凍結されていたアイスドールが再稼働された。
つまりはアイスドールがいなければエンジェランは機能しないのだけれど、
その肝心のアイスドールが、自らの意志によって、エンジェランの開発プラントからFR-08へと逃走してしまう。
開発プラントは激怒。FR-08へアイスドールの返還を求めたが、FR-08はなぜか応じない。結果として両者には決定的な溝が生じ、開発プラントはRNA陣営へ急速に肩入れを始める。
これがDNAvsRNAという構造のみならず、VR開発プラントをも巻き込み結果として地球圏全土に達する戦役へと発展するきっかけとなるのだけど、
エンジェランがその契機に位置する機体ってのも、彼女を愛機として選んだ私としては個人的に感慨深い。
その他の補遺として。
ややこしくなりそーだから上記解説では「開発プラント」と濁しておいた各種プラントの説明。
第1プラント ダンシング・アンダー:
DNA陣営。
月面遺跡より採取され、VR開発の資源となるV-クリスタル質を管理するプラント。
VRの開発は行っていないらしい。
第2プラント トランス・ヴァール:
RNA陣営。ドルドレイを開発。アファームド系列の製造も担当。
FR-08の高圧的な統治に反意を持ち、実はかなり初期段階からRNAに接触を図っていたらしい。
よって、ドルドレイを極秘に開発。RNAへの供給・実戦投入と同時にFR-08からの離脱を宣言する。
第3プラント ムーニーバレー:
DNA陣営。ボック系列を開発。デッドリー・ダッドリーが壊滅して後はライデンの生産も担当している。
DN社が存在していた時分からVRの可能性を信じ、これの開発を支持し続けていた。
だからFR-08のVR開発禁止令にはだいぶ落胆したし、せっかく開発認可を受けても求められたのは「支援型戦闘機」という地味な役回り。
それでもあらゆるニーズに応えたボック系列の開発成功により巨利を得て、さらにはデッドリー・ダッドリー崩壊後の技術を積極的に回収し、
将来的には地球圏でもかなりの存在感を持つ企業へと成長していくそうな。
第4プラント TSCドランメン:
RNA陣営。エンジェランを開発。
地球にて発見された、月面遺跡との連動が確認される遺跡の管理・調査を担当していた。
「エンジェランの略奪」をきっかけにFR-08との対立構造を深めるが、しかし同遺跡から採取されるV-クリスタル質をRNAへと転売していた過去が明らかになる。
FR-08vsTSCという構造はかねてより不可避の構造だったと言える。
第5プラント デッドリー・ダッドリー:
既に倒産している。ライデンを開発。
DN社が存在していた時分に、旧ライデンの開発に大失態をやらかしFR-08からも無能とみなされほぼガン無視されていた。
それが幸いしてか、VR開発禁止令が解除される以前から公然と研究を続けていてもお咎めを受けず、結果としてDNA陣営初の第二世代VRの開発を成し遂げる。
が、功を焦り、独利を得るためFR-08の用意した販売ルートにも乗らず、それどころかRNA陣営にまで販売を続け、自らの命脈を絶つ結果を招く。
それのお仕置きの手段ってのが、「研究施設そのものを限定戦争用の戦場として提供された」というすさまじいものだった。
名実ともに崩壊したプラントはムーニーバレーにより回収され、ライデンもまた彼らが生産権を得ることになる。
SHBVD:
他に紹介する余白がなさげなのでここに。
日本語に直せば特殊重戦闘VR大隊。プラントではなく、かつてDN社が保有していた傭兵集団である。
旧ライデン開発の大失態とは、単なる発注ミスであった。
ライデンができあがったはいいものの、スゲエ高価で商品レベルどころかそもそも新たに製造することさえ不可能な代物になってしまった。
DN社は激怒し、開発に相応の責任をとらせると決めはしたものの作ってしまったものはしょうがない。
苦肉の策として、このライデンを選ばれし兵士のみが搭乗を許される超高性能・超高級VRと虚飾し、専属契約を結んだ傭兵部隊にのみ賞与し、広告塔として立ち働かせることにした。
それがSHBVD。
現実でも戦車開発とかで似たような話があるよね。重装甲だけどまともに動かないから国威発揚パレードが主な活躍の機会とかそういう。
ただ、彼らは実際の戦場にも赴き、自らがトホホな来歴から生まれた虚仮威しの集団であることを自覚しながらも多くの死地で獅子奮迅の働きをみせ「伝説のVRライデン」を半ば現実に打ち立ててしまった。
その余波として、第二世代ライデンは「あのライデンの次世代機!?」という評判で売れに売れたらしい。
それの結果が、デッドリー・ダッドリーの増長と壊滅の道に繋がるのも皮肉な話。
彼らの活躍は現在ではバーチャロンシリーズのディレクターであるワタリ先生直筆の公認同人誌「ワンマンレスキュー」等で確認できる。
たいていの場合、真面目で腕利きで苦労性なんだけどスタンガンぶっ放して上司から指揮権強奪したりライデンレーザーで衛生ぶち抜いて狼煙の代わりにしたりする「ミミー・サルペン」というおねーちゃんが主人公である。
第6プラント サッチェルマウス:
RNA陣営。サイファー・スペシネフを開発。
Dr.アイザーマンが所属するプラント。DNA所属の大佐と組み、VR製造に必要なV-クリスタル質を求めダンシング・アンダーを襲撃するなどけっこーやりたい放題やってる。
ついでに研究施設は戦艦も兼ねているそうな。つくづくいい趣味をしている。
余談だけど、質実剛健な機体を多く開発するトランス・ヴァールと、
外連味に溢れまくった機体を開発するサッチェルマウスはけっこー仲が悪いらしい。
第7プラント リファレンス・ポイント:
DNA陣営。テムジンを開発。
FR-08直轄のプラント。主戦闘機体であり、DNAを、そしてFR-08を体現する機体であるテムジンの開発を委託されたのもやっぱり直轄だから。
FR-08から潤沢な資金と人材を得ているためかなり優秀なプラントらしいけど、それだけ高い要求と、実績ゼロからのVR開発で何かと苦労したらしい。
第8プラント フレッシュ・リフォー:
DNA陣営。トリストラム・リフォーっちゅー人を盟主に戴く大企業。
元は金融業などを中心とした様々な施設をもつ企業群だったけど、DN社の瓦解後、散逸しかけたプラントを繋ぎ止め傘下に納めることで地球圏を代表する企業国家に成り上がった。
大企業ゆえにその基板は一枚板ではなく、また高圧的なやり口が災いし、そしてDNAvsRNAという構造を利用するため、RNA打倒にはあまり積極的な行動を見せず、結果としてDNAはなにかとRNAの後手に回ることが多い。
元より兵器の販売というパワーバランスの微妙な商売だったのに加え、VRももはや人気商材。企業国家にとっては資本力がそのまま力関係である。傘下の連中を力尽くで抑え続けるには限界がある。
そしてアイスドールがこのプラントに逃げ込み、そしてなぜかそれの返還要求を頑なに拒んだことからFR-08vsTSCという対立構造が決定的となる。このとき既に傘下に納めていたはずのプラントの半分に離脱され、敵役に回られていた。
その上で更に、トリストラム・リフォーの暗殺という椿事が発生する。
エンジェランの略奪:
TSC陣営からみた、アイスドールの逃走劇の呼称。
アイスドールは前述の通り自由意志がある。だから、監禁・凍結されていた研究所からの逃走も彼女の意思である。略奪という語句は偏った意見といえる。
しかしなぜ逃げ延びた先がFR-08だったのか。そしてFR-08はなぜ返還に応じなかったのか。
両者の亀裂が決定的となったこの事件を契機とするように、あの気まぐれさんが帰ってくる。
上ーの方で触れた、支離滅裂大株主のアンベルⅣである。
突如の失踪から唐突な復帰。しかも、よりにもよってTSC陣営の大株主として帰還するのである。
そしてアンベルⅣは高らかに、「オペレーション・ムーンゲートは茶番であった」と喧伝を始めた。
自らの失踪と太陽砲の発動はトリストラム・リフォーの謀略であったと。
FR-08が掌握しているVR販売プロジェクトは、騒ぎに乗じて掠め取ったものに過ぎないのだと。
先に書いたとおり、プロジェクトを破綻させたのはアンベルⅣである。ただ、事実はどうであれ、内実を知らぬ人々からみればその宣言は現実に即していた。
盟主を欠き、後任さえ定まらないFR-08。離反してゆくプラント。
そこにこの「太陽砲の真相」というスキャンダルが重なるのだ。
FR-08、およびDNA陣営はもはや風前の灯火とみえた。
が。
リリン・プラジナー:
人物。プラジナー博士の娘。15才。
FR-08の最後の切り札。
天才博士の血を継ぐに相応しい天才少女であるらしく、存在の明かされていない「第9プラント」に所属し「時空因果率制御機構」を完成させるに至る。
しかし人類が持つには大それた機構であると悟り、それに自我を与えるという方法で、別時空への逃亡を手助けした。
(ファイユーブやアイスドールの逃走といい。色々と血は争えない様子)
その独断により、第9プラントに莫大な資金提供を行っていたトリストラム・リフォーの怒りを受け、軟禁の生活を送っていたらしい。
そしてそのリフォーが暗殺され解放された彼女に用意されたのは、FR-08の盟主という玉座だった。
VR開発の旗手であったプラジナー博士。その娘を新たに盟主として据えることでVR開発とその販売を正統なものだと位置づける為の処置……ではあるものの、15才の少女に何が出来ようというのか。傀儡にする気満々である。
しかしその歪な椅子についたリリン・プラジナーは確かに天才少女であったのだ。多くの人間の目論見とは裏腹にあらゆる政治闘争を退け、不合理であった組織を改革し、離反しかけたプラントを繋ぎ止め、DNAに戦略的優位を与え、FR-08を、DNAを強固な連携を持つ組織として蘇らせることに成功した。
天才少女は商才も兼ね備えていた。
DNAは確かに強くなった。しかし、数の優位に押すのみの勝利では限定戦争に利益をもたらさない。
より明確に、ある意味ではわかりやすく、VRという存在そのものを象徴する新型機が必要となる。
そのオファーの末に誕生したテムジンは、その完成度をしてリリン・プラジナーに決意を与える。
時空因果律制御機構タングラム:
「無限に存在する平行宇宙の事象を自在に入れ替えることを可能とする機構」だそうで、まあ要するにドラえもんのもしもボックス?
精神の喪失・虚空から描き出される兵器・空間転移を予感させる働き。それらの全てはこの、因果律制御機構の余波に過ぎなかった。
この機構こそが月面遺跡の発掘調査により得られた最大のブラックボックスであり、目先の利益に眩んだDN社が取りこぼした果実であり、それの後釜をまるごと持って行ったトリストラム・リフォーが真に秘匿したかった宝である。
VR販売プロジェクトってーのも結局はタングラム開発の目くらましに過ぎない部分があったらしい。
「タングラムを解放せよ」
アンベルⅣとの会談の際、彼らが示した要求である。
これには、人々の命運を自由に握り得るシステムの構築と、それの秘匿という大それた独善を暴露し、糾弾する意味があったのだろう。
しかし天才少女リリン・プラジナーはそれを鮮やかに回避し逆手にとってみせる。
「あの子はもう既に、自らの意思でこの世界を去りました」と告げた後「タングラムの発見と奪還、そして運営権の争奪を目的とした限定戦争」を提案したのだ。
これこそが彼女自身が待ち望んだ瞬間だったらしい。
オラトリオ・タングラム:
リリンの提案した戦役が、後に呼ばれることとなる名称。
DNAとRNAが総力を結集し「時空因果律制御機構」の優先的接触権を、いうなれば自身の運命を争奪しあう戦役。
これが発布された直後、限定戦争への参戦希望者が個人・企業と規模を選ばず殺到することとなる。
この戦役こそが、電脳歴最大規模にして、あらゆる人類をその影響下においたもはや終わりのみえぬ大戦役であり、プレイヤーである私らが参戦することとなる限定戦争である。
とかなんとかで。
結構な分量になりましたが、もちろんオチは「でもゲームを遊ぶ分には一切関係ないんだけどねッ!」とかそのへんです。