バーナード嬢曰くの3巻のリアルタイム感想の残り半分。
やってみたかったことではあるんだけど、初読時にやらなきゃ意味がないだろうと思ったせいで、それが出来るタイミングを待ってたら購入からおよそ半年経ってたなんつってな。
一冊読むのに8時間くらいかかったけどかなりの満足を得られる読書法ではありました。
・動物の名前。
そうね。私も「お前は私に飼育される存在になるのだ」みたいな気分で名前を付けることが多い。
その一方で一応共同生活を送る上での機能性もあるんですよ。名前呼べば「なんか用があるらしい」て事に気付いて貰えるんで。
・平行して複数の本を読む。
森川幸人というひとが集中力の逆として分散力って言葉を使ってたな。正確には最初に言ったのは糸井重里だった気もするけど。
一冊読まなければ次を読まないなんてのもこだわりというよりかはいっそ悪癖なのかも知れない。
・どの本とも最後まで付き合えない、と自然と擬人化めいた言い方になってるあたりさわ子ももう相当本好き。
・ふしだらだぞと叫ぶJKとかかわいすぎて国に保護されるべき。
・ところでさわ子のその行為がふしだらなのだとしたら「最後まで付き合う」てどういうことになんの? エロくない?
・読書家は見切るのが早い。
たまに言われる「冒頭3行でその本の価値が分かる」的なのは要するにそういうことな気がする。
・神林しおりは未練がましい。はい覚えておきましょう。
・中断したまま数ヶ月。でもみんなまだJK。
……作中で明言されてないと思うけど、JKでいいんだよな。バイトしてるし。
・「みててもいいですか?」 お。踏み込むね長谷川さん。
さっきの「最後まで付き合う」がどういうことか考えたら相当な覗き趣味だよね。
・映画は別物。
映画化を手がけたら原作者から「アレは違う」つって映画の不満点を改めて修正した続刊を刊行されたり、「まあ別物だよね」ときっぱり言われたり、「むしろおれの書いた小説よりもおれの言いたいことを表現してくれた」と褒められたりと何かと一言言われがちなキューブリックという爺さんのことを思い出す。
・本を読んでもいいかなという遠慮。
コミュ障というほどではないにせよ神林しおりは友達そんなにいないんだろうなというところが察せるくだり。
(あらゆるジャンルの二次創作界隈になぜか必ず存在する「○○はぼっちだよ」と言いたがる勢)
・二人で喫茶店に来ながら別々に小説読んでたりするのがおれの理想のカップル像です。
・さわしおが二人の関係に終始している中でちゃんと文学な話題は大体遠藤君の担当になってるのね。
おじさんが若者だったときは『小惑星が地球に衝突して人類が滅ぶ可能性だってあるんだぜ』というTVの特番に対して「世の中にそんな劇的なことが起こるはずがないじゃないか」という態度を取ったのがそれに近いと思う。
・そっちの方が遠藤さんらしいです。町田さんは豊かな人生を送りそうですね。
という長谷川さんの表情から伝わる施川ユウキ先生の魂の筆致。
長谷川さんがだんだん図太さを身につけ始めている。
・殴った! 65ページにしてついに殴った!
・ハートとか葉っぱとかを泡で描いたカプチーノを横に置きたい。
具体性に笑う。
・基本的にさわ子のいいなりよね神林、
・エドワードゴーリーおれも好き。
おぞましい二人は後書きまで含めてなんだかすさまじかったな。
創作は誰かに奉仕するための存在などではないのだ。
・我々は村上春樹の呪縛から逃れることはできないのだ。
時空を超えて何度私たちの前に立ちはだかるのだ……村上春樹!!
・関係の中の読書。て所から軸がぶれないよねさわ子。
・歯痛の話を取り扱った本……思い出せそうなそもそも読んだことがなさそうな……ああ……。
・誰に、何者に、勝つつもりなんだ。
ものすごい名文にこのオチ。このダイナミックな冒涜がバーナード嬢曰くの大事な魅力といえる。いいたい。
しかしほんと泣ける。
・この状態……ケンカだったのか! と今さら気味に気付くしおりさんはやっぱり今まであんまり友達がいなかったですね?
・理性は、理知的であろうと努めることは、感情を蔑ろにするわけでは決してないし、
常に問題を明瞭に平易にしてくれる。
「貸した本、結構ちゃんと最後まで読んでくれるんだよね……」という気づき方が、もうね。
相手が本を好きだといってくれたこと。こちらが渡した本がどんな内容か知ろうとしてくれたこと。
自分がその本でなにを感じたか知ろうとしてくれたこと。
それがどんだけ尊い行為であるか。そこからほだされるあたりほんとにもー神林しおりがおれにとっての理想的な文学少女であると思いを新たにしますよ。
一方で、町田さわ子は理性や理知でなく、「神林に嫌われたくない」という直感でまず最初に謝ってるんだよな。
この関係ですよ。
もちろん、ギャグ漫画と物語との間に優劣なんて存在しない。それを前提とした上で。
バーナード嬢曰くは確かにギャグ漫画ではある。
けれども物語としての機能も十全に備えている。
読書を中心とした人同士の繋がりのお話である。
・タイムトラベルものに猫って良く出てくるよね。
ごめん夏への扉しか知らない。
・さわ子はさわ子で 、「そっちは後で読むよ!」と断言できるその躊躇のなさが私にとって異星人みたくみえる。
・読み方を強制してはいけない……とこらえる神林しおりの人間的成長の軌跡をみよ!!
・人は何かを辞めるときでさえ何か理由を付けないと辞められない。
とは立川談志の言葉。
・犬が出てくるSF。やべ。SFどころか文学全体でもちょっと思いつかない。
・ポチはポチで同じポチでもどの作品のポチかで違うのはそうかも知れない。
・あ、サンリオSF文庫だ。
・さるかに合戦とレザボアドッグス。
まあ確かに、歌いながら耳を削ぐバイオレンスシーンみたく拷問が散見される昔話ではある。
・グフフフという笑い方をしてもなお神林しおりはかわいい。
・それはそれとして除虫菊皆活字中毒の韻。普通によくない?
・手に入れたくてずっと探してた本ー。
というと私にとっては詩人の夢かなあ。amazonとか日本の古本屋のおかげでもうそんなに探すことももはやないけど。
それによって失われるロマンは確かにあるだろうけどそれでもその便利さは肯定してしまいたい。
・もしかして遠藤君このマンガのなかで一番キャラ濃くない?
・手に入れることが目的になると。しおりちゃんまたそういうめんどくさいこというー。
古本屋さんでお手伝いしてたときにそういう、なんかもうとにかく本を買うのが目的になってるよねって爺さんを何人かみたな。上客でした。
・恥ずかしがってる神林を額縁にかざろう。
・同じ話を何度だってする……!! てアレよね。マサシがいうところの関白宣言ってやつよね。
お前を嫁にする前に言っておきたいことがあるってやつよね。まあちょっとは覚悟しておけってやつよね。
その答えが「何度だって聞くよ?」ですよ。なんなんだよもうおれをどうしたいんですか。
・て、ネットでみた。とは我々凡人にとっては常にエクスキューズであるのにこの堂々さたるや。
・図書館警察。怪物を掴んだときの「ふやけたティーバッグみたいな感触」て描写の生々しさを覚えてる。
いや子供の頃にレイプされたのはわかるけど主人公男だよね……しかも子供だったんだよね……? て部分に釈然となかったあの頃。
・火の鳥好きだけどどの編がどんな話だったか正直あんま覚えてない。
でも確かに好きなエピソードを挙げろといわれたら「神よロビタを救いたまえ!」だよなー。
でも確かに我王には勝てないよ……猿田博士だし……。
・しかし手塚治虫の修正に関して語れるとかどこの次元のJKですか。
・シンゴジラのまねをして手のひらを空に向けてる神林しおりをフィルムに残そう。
・だからゴジラ対へドラみてるJKとかトロピックサンダーとかフロムダスクテイルドーンとかを好きだと語るJKと同レベルにどこ次元のJKなんだと。
・能動的な没入が求められるからこそのVR。
実際に最近そういうソフトウェアの話が出てたよね。初音ミクが座ってる横でゲームできるやつとか。
・三毛別羆事件はWikipediaで読んでさえ震え上がるくらい怖いからな……。
・どんなに優れたレビューよりも。
それはそれで寂しい話にも感じてしまう。
それならば物語の意義とはなんなのだろう。架空の物語はいつだって現実に勝てないものなのだろうか。
けれども。
バーナード嬢曰くは読書と人の関係みたいな話のように思ってる私としては、なんだか相応しいシメであった。