樋口円香さんの全モーニングコミュレビューどろぬま後半戦。

 まだね。運命の出会いがね。まだ運命の出会いガチャがね。残ってるからね。まだね。と。もう一度引くとSKIPの間をお百度参りしていたところいつのまにか殺して屋根裏に放棄して腐るままにしておいたおれが背後から「ところで TureEnd ってなに? TrueEnd じゃなくて? アレわざと?」と声を掛けてきたんですが幻覚であることは理解できていたのでガン無視しました。
 樋口さんはまだ出てきてくれません。


 はい樋口円香との丁々発止な朝のご挨拶、後半戦をお届けします。
 前半戦はこちらなんですが。

tehihi.hatenablog.com

  前半である8/15種のコミュを通じ理解できたのは、円香さんとの心の距離を近付ける為にはルールがあって、基本的には「かまうな」「さわるな」「ちかづくな」に分類できるという点です。
 なんというか。さすがですね。
「ちかづくな」は語呂の良さから採用したけど、実際的には「わかろうとするな」になるかな。心の距離の近付け方て話してんのに。
 で。
 それらトゲだらけの前半を越えてこそ到達した後半戦は好感度があがってからのコミュになります。親密度があがっており、お互いの理解が進んでいる状態ならば、この記事の主題である「なぜこのコミュで親愛度があがるのか」という問いもわかりやすくなっているハズです。
 ハズなんだ。
 ハズなのに……ええ……?
 まあ詳しくは、経過をみてってほしいんだけど。
 その末に辿り着く答えを予め言っておけば「やっぱシャニマスのテキストは信頼できるな……」あたりになりやす。
 あ、でも先に、前回の残り。これはまだ親愛度Lv2でのコミュ。


Morning 9

「そういえば――
 この間、浅倉からあなたの写真が送られてきたんですが
 ――なんですかこれ。どういうつもり?」

 ど、どういうつもりと言われても……


・もうしないよ
「…………………………。
 はい、よく言葉を選べましたね。
 ミスター・不純物」

(よし、楽しく話せたな)

・ピースしただけだ
「はあ、そうですね。
 浅倉とツーショットでピース?
 どうでもいいけど、二度としないで」

(まぁ、普通に話せたかな)

・透が撮りたいって
「は?
 浅倉のせいにするの? は?」

(うっ……しまった。別のことを言えば良かったな……)


・寸評。
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 問題のやつ。
 少々凝った内容のもので、浅倉透とのモーニングコミュと連作になっている。樋口からの連絡に「Pの写真で返事していい?」と急に透が言い出して、ツーショットの写真を送り返したという内容。
「ピースしただけ」というのは事実だけど「透が撮りたいって」てのは、断ることもできたのだから事実としては半分程度か。

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 コミュの内容としては、「二度としないよ」という相手が大切に思うことを尊重するという回答がパフェ。要するに、樋口円香が大切にしているのは浅倉透であって、この回答が出来るようならば樋口円香学も及第点ということで、花丸を貰える。
 花丸と表現するには「はい良く言葉を選べましたね。ミスター・不純物」という苛烈さがなかなか苛烈だけど。

 ここでいう不純物とは、いわゆる不純異性交遊などの用例に因む「スケベおやじ」くらいの意味とも解釈できるけれど、なんだかどうしても。言葉通りの意味の不純物に、不要分子みたいな、余計な混ざり物というトゲがあるよう感じる。そして「よく言葉を選べました」という返答は「邪魔ものなのだとしっかり自覚しておきなさい」と釘を刺されたようにも思える。

 樋口円香は変化を厭う素振りがある。
 変わりたくない。このままでいたい。
 或いは、Pの熱に感化されたくない。

 Pを蛇蝎の如く嫌うのは、樋口自身に、もしくは幼なじみという皆の関係そのものに変化をもたらしかねない存在としての危惧が強く働いてためであろう。「ミスター・不純物」という揶揄にはそうした思いが色濃くでているのではなかろうか。

 なんだか悲しく思えるのは、このコミュが連作であるという点だ。
 樋口円香への回答は「わかった。邪魔をするつもりはない」という内容が好感触になる。
 一方、浅倉透はどうかというと、Pの写真で返答したいという思いつきに「――ピース」と、乗ってやるとパーフェクトになる。逆に「そんなので返答になるのか?」と訝しむとバッドコミュである。

 円香と透と、結果が真逆になっているのだ。

「透がやりたいって」と返答すれば「は? 浅倉のせいにするの?」と詰め寄られる。
 その険悪さは、浅倉透から言い出したことだと信じたくないようにさえ感じられる。しかし、それを裏切るように、事実だ。
 樋口が守りたい・維持したいと思っているものに対し、浅倉は無頓着なのだ。
 そのすれ違いがなんとも悲しい。 

 まああんだけ弱みや自分自身を出したがらない樋口円香が浅倉透とのツーショットに少々目の色変えて「どういうことですか」と難詰にくることそのものは樋口お前ほんま樋口ね的にぶっちゃけ愉快だけれども。


 ――ここから親愛度上昇――


 具体的には親愛度が3以降。ここの親愛度上昇は特別な意味がある。
 何せ、おさわりが解禁されるからである(解禁されたわけではない)

 大事な攻略情報なので言及しておきたいが、親愛度が3以降はプロデュース中のメイン画面にて、ボディタッチを行ってもテンションが低下しないのだ。つまりノー・リスク・ボディ・タッチ。
 樋口円香でさえこのシステム上の制約により約束された魔手から逃れることはできない。

 まあそんな話がしたいんじゃなくて。
 プロデュース上の、テキスト上で示される親密さはこの時点で頭打ちということだ。
 モーニングコミュにもその状態にあわせて、相応の変化が訪れる。
 訪れている……はずなんだ。
 相変わらず辛辣で変化がみえないけども。 訪れている……はずなんだ。
 ……はずなんだけど。と、混乱させられる由縁は、これまでの10通りで学んだ「かまうな」「さわるな」「ちかづくな」の原則が通用しなくなっているからである。
 親愛度Lv3に到達によってPと円香の心の距離は近付いているハズである。相互理解も進んでいるはず。なのにかえってわかりづらくなっているのは何故なんだろうと。
 ひとまず順にみていきましょう。


Morning 10
 円香って、休みの日は何しているんだ?
「答えません」
 はは、冷たいなあ
 じゃあヒントだけでも
「……プライベートです」


・惰眠とか?
「あなたと一緒にしないでください
 知らないけど」

(よし、楽しく話せたな)

・勉強とか?
「必要な時にはやりますが、
 でも、それくらいは普通でしょ?
 机にかじりつくような優等生にでも見えましたか」

(まぁ、普通に話せたかな)

・家事とか?
「……その聞き方から察するに
 あなたは休みの日以外、家事をしないみたいですね」

(うっ……しまった。別のことを言えば良かったな……)


・寸評。
 だからプライベートに触ろうとするのは禁句だっつって。と、これまではそれなりに距離を取っていたPが明らかに態度を変えていると察せられるコミュ序文。Pの方でもある程度の親密さを感じられてこその踏み込みなんだろうけど、その精神的タフネスに少々ハラハラさせられますな。

「あなたは休みの日以外、家事をしないみたいですね」という切り返しも鮮やかさなバッドコミュは、素直に軽蔑されててわかりやすいですね。「必要なときには勉強をするのが当然」というグッドのも含めて、樋口円香さんは生活態度が真面目である。
 小糸ちゃんに優しい顔をみせるのはそのへんもあるのかも……まあ、小糸ちゃんへの好印象は、彼女も四人組への執着が強くてそこへの共感や安心があるんかな……というのは脱線として。

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Pにはみせない顔。

 問題は、パーフェクトコミュの内容である。
 15種のモーニングコミュのなかで一番の難題のようにさえ感じる。
 なんでこれでパフェなん。
 今までの例を参照すると「理解されなかったことに安堵して」の親愛度上昇てパターンに当てはめられそうにも思うけど、理解されてないという点では三つとも並んでいる。

 わかんないので、だいぶ穿って考える。
 惰眠とか、は、正解なのでは。
 樋口円香は休みの日は寝て過ごしているのでは。
「あなたと一緒にしないでください」という咄嗟の回答がキモなんじゃあるまいか。
 例えばそれが、ほんとにやってない過ごし方ならば「はあ?」とか「そんなこと、してると思いますか」とかもっと分かりやすい返答になるんじゃないのか。それに、Pが問いかけたのは「惰眠」である。惰眠て。そこは昼寝とかでええんちゃうんと思うところを、妙に強い「惰眠」て表現である。
 それに対しての「あなたと一緒にしないでください」が含んでいる意味は、そんな過ごし方はしていません、じゃなくて、「あなたのと違って、私のはムダな眠りじゃありません」という意味だったりはしないか……?
 知らないけど。
 この、「知らないけど」も、咄嗟に出てしまった言葉を打ち消している言葉であって。その、一瞬だけムキになってしまったような様子が図星を思わせるんだよね。
 みたいな、樋口円香が教えてくれない趣味って実は昼寝だったりしないかな話は別に書いた。

tehihi.hatenablog.com

 仮に、樋口円香が休日は大体寝て過ごしてたとしても。それを言い当てられることで親愛度が+3されるのはこれまでのパターンからだいぶ逸脱してるんだよね。んん。
 しかし一方で、以降のコミュでも、親愛度がLv3になってからは「かまうな」「さわるな」「ちかづくな」の原則が逆転しているよう感じるのだ。
 それに倣うなら、言い当てられたからこその親愛度上昇……?

 んんんー。
 逆に、これまでの例に当てはめるならば「勉強」も「家事」も、間接的にやっていることだと回答されている。なので「惰眠」はやってないことで、類例通り、理解されていないことにむしろ安堵しての親愛度上昇パターンに適合はする。
 こっちのが推論としてはスッキリしているが……。

 そういえば、樋口は「今度、休みをください」て約束イベントでも「これ以上はプライベートですので」つって言及を躱す。うーん。
 そのうち浅倉透あたりがあっさり「樋口の休みの日? だいたい私の部屋で寝てるね」とか言及してくれないかしら。


Morning 11

 …………円香。
「今、台本に集中しているんです。
 見てわかりませんか」

 いや……
 円香の肩、テントウムシがとまっているんだけど
「…………」


・じっとして
「……………………
 ……………………………………取れた?」

(よし、楽しく話せたな)

ナナホシ
「ふうん、詳しいんですね
 差し上げるので、早く持っていってください」

(まぁ、普通に話せたかな)

・…………
「…………
 ……早く、どうにかして」

(うっ……しまった。別のことを言えば良かったな……)


・寸評。
 前半戦で「ナチュラリストだったりするんかな」とか適当抜かしたけども虫はきっちり嫌いな様子。害虫でも不快害虫でもないのにしっかりとした嫌がりようは明確に虫嫌いなのだろうけど、オーバーなリアクションをとるでもなく黙って耐えるあたりが。

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無防備。

 イイ。
 ガードの堅い円香がめずらしくみせた弱みでもありつつ、苦手なモノを早く排除してあげた順に良い結果になる。
 結果としては普通だ。
 しかし、この普通さこそ要点であるよう思える。
 従来の樋口円香ならばPに弱みをみせた時点で、「知られた」時点で三つの選択肢のどれもがバッドコミュ確定みたいな勢いだったけど、ここに至ってやっとPの働きに素直に親愛度を上昇させている。
「じっとして」という呼びかけこそあったものの、静かに耐える様子と「……取れた?」という返事からは、Pに苦手を把握されている、そしてPはそれを除けてくれるというほのかな信頼が感じ取れる。
 不可抗力ではあれ、樋口円香がPに甘えた一瞬とも解釈出来る。
 肩に止まったほんの小さなテントウムシを除けるというだけのシーンだけど、とても決定的なシーンだと思う。マンガで例えりゃ少なくとも見開き2ページは費やしてほしい場面スよ。
 見開き2ページというと大変なことですよ。具体的にはメイドさんが着替えを終えてエプロンを締めるまでですよ。


Morning 12

 取引先からフルーツゼリーをもらったんだ
 パインとチェリー、どっちがいい?
「どちらでも」
 ……それなら、じゃんけんで!
 円香が勝ったらパイン、負けたらチェリーにするか!
「は?」
 いくぞ、じゃーんけん――


・ぐー
「――私の勝ちですね
 ……チェリーで」

(よし、楽しく話せたな)

・ちょき
「――で、あいこの場合は?
 はぁ、とにかくどうでもいいので、
 適当にください」

(まぁ、普通に話せたかな)

・ぱー
「何、ひとりではしゃいでいるんですか
 付き合いませんよ」

(うっ……しまった。別のことを言えば良かったな)


・寸評。
 選んだ選択肢によってじゃんけんにつきあった / 付き合わなかったと、因果律ごとごっそり変わってるコミュ。そりゃじゃんけんに付き合うぐらいなら親愛度もあがる・付き合ってくれなかったのであがらないーのは当然ではあるんだけど、でもそれって選択に先んじて結果が決まってるってことになるんでややこしいよなとか思うんでややこしいことを言うのは避けておこう。

 もしくは。負けた際に樋口が出してるのはぐーになるけど、ギリギリ「じゃんけんなんかするつもりありませんでしたけど?」とごまかしが利きそうな手ではある。つまり、樋口が見栄をはった可能性もある。
 ならば、Pが選ぶべき手は、「じゃんけんの手じゃありません」と誤魔化しが効き、かつ、その状態で相手を勝たせることの出来る手。それを両立できるのが「ぐー」という選択……そういうことだろうか……。

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一部のインターネッターが連想せずにいられないやつ

 まあややこしいことを言うのは避けといて。
 注目したいのは「円香が勝ったらパイン、負けたらチェリーにするか!」「私の勝ちですね……チェリーで」というやりとりだ。
 勝ったのにチェリーを取った円香。

 これ、照れ隠しなのではないか。

 咄嗟にじゃんけんに付き合ってしまった。ついでに、勝ったことに喜んでしまった。それの照れ隠しとしてルールを反故にしてみせた……というやりとりなのではなかろうか。カワイイ。

 そして、それで親愛度があがるのだ。
 なぜだ。
 樋口円香が、照れ隠しをした姿を覗かせたのに親愛度をあげている。なんでだ。
 先のテントウムシのコミュと併せて、内面を覗かせているのにも関わらず上昇している。
 ここにおいても、これまでの原則だった「かまうな」「さわるな」「ちかづくな」のうち「かまうな」から外れている。

 そもそもだ。あの樋口円香が、コンビニでのついでの買い物さえ借りを作りたくないと拒んだ樋口円香が、Pからの施しを受けているのだ。Pから食べ物を与えられてそれを食べているのだ。そこからして類例から大きく外れているじゃないか。
 なんか警戒心の強い野生動物みたいな扱いだがまあともかく。


 先延ばしにしていた結論を今こそ言うべきな気がする。
 これまでみてきたコミュはそれぞれ「かまうことで」「さわることで」「ちかづくことで」、親愛度があがっている。
 これは……つまり、やはり……さすがにもう確信していいんじゃないのか。
 デレているのだ。

 樋口円香がデレているのだ。

 わ。
 わかりづれェ……! わかりづらいけども、このわかりづらさこそが樋口円香がデレている、あるいは僅かにデレの片鱗をみせている証左なのだ……!
 デレているという俗な表現が悪ければ、Pとの距離が近付いていると表現すべきか。

 えー。ちょっとショックー。
 という感想が正直なところだけども、まあツンデレはデレたら終わりみたいな過激派だか原理主義的なことをいうつもりもないが。しかし。このわかりづらさ。「ただでデレさせるつもりはねえぞ」というおシャニさんからのメッセージであるようにも感じるし、ツンが嬉しい向きにとっても舌鋒の鋭さがまったく鈍ってない極めて上質なデレとも表現出来るんじゃないかしら。
 Pとの距離が近付いたというよりも、樋口円香がアイドルを続けていく気持ちが固まり始めているとも言える気がする。
 それは単に馴れただけとも、感化されているとも表現出来る。
 本人の望むと望まざるとに関わらず、人も物も変化していく。それは或いは樋口円香にとっては残酷なことかも知れないけれど。

 ところでちょきだしてる円香をちゃんと画像でみたいんですが。


Morning 13

 おはようございまーす!
「おはようございます」
 円香! すまん、待たせたか……!?
 今日の予定だけど――
「……話の前に、するべきことは?」


・……うがい?
「そうですね。あなたからもらう風邪とか、
 発熱よりも絶望の方で寝込みます
 いますぐ息を止めて、回れ右」

(よし、楽しく話せたな)

・……手洗い?
「はい、満点の答えです
 赤ちゃん基準の採点ですが
 さすがでちゅね」

(まぁ、普通に話せたかな)

・……除菌?
「わかっているなら早くして
 ああ、消滅しないように気をつけてくださいね」

(うっ……しまった。別のことを言えば良かったな……)


・寸評。
 ……デレてるんじゃないのって話をついさっきしましたけども。
 この、どれを選んでも飛んでくる毒舌にいっそ安堵すら感じますね。

「さすがでちゅねー」と揶揄したつもりであろう樋口円香はまだ若く、人生の機微を、あるいは人の陰影というものを知らない。だからわからないのだ。その赤ん坊扱いはそれはそれでごっつ悦ぶ性癖持ちがいるということを。

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あばばばば

 生活態度の真面目な円香さんはこういうのにもちょっと厳しい。新型コロナが世界を席巻している昨今にタイムリーな話題である。事務所内にはマスクがトレードマークな先輩もいるし。
 やはりここでも親愛度3以降の、これまでのコミュ結果との反転がみられる。
 うがい>手洗い>除菌。という結果順をみてもらいたい。防菌を徹底するほどバッドコミュに近付いているのである。

 それはなぜか。
 推論A。徹底した順から悪くなるということは、それだけ気を遣わせたように思えて気が咎めた。
 推論B。除菌というオーバーな物言いが冗談みたく解釈された。

 いずれにせよ注目したいのは、「満点の回答です」は、満点なのにグッドコミュで、さらに上がある点だ。
 満点の上はうがいである。
「うがいもしてねぇヤツと話す口なぞ持ち合わせてねェんだよ」という会話の内容だけど、ひっくり返せば「これから話すんだからうがいくらいして来い」になる。
 しっかり対話すべく態度を示してくれているのである。
 これはまあ、(よし、楽しく話せたな)でも文句はないんじゃないでしょうか。
 都知事の唱えた三密のうち一つは親密である。違うけど。
 そもそもコミュ全体が風邪の予防くらいちゃんとしましょうっつって身体を気遣ってくれてる感じにもとれなくないけど、ダメっすかね。


Morning 14

 おはよう――
 ん、髪切った?
「……昨日と一緒ですが」
 あれ違ったか
(なんとなくいつもと違う気がするんだけど……)


・えーと、それじゃ……
「……さっきからなんですか?
 些細な変化にも気付けちゃうアピール?
 色気付いた中学生みたい……ふふっ」

(よし、楽しく話せたな)

・メイクを変えたとか……
「じろじろ見ないでください
 普通に考えて失礼な行動はやめてもらえますか」

(まぁ、普通に話せたかな)

・シャンプーを変えた?
「え、こわ……
 近づかないでください……」

(うっ……しまった。別のことを言えば良かったな……)



・寸評。
 ふふっ。が官能的。
「え、こわ……」は樋口円香だからとかどうとか置いといて正常な反応だと思う。反応からしてたぶんシャンプー変えたのは事実なんかなと思うけど、変わる前からシャンプー及び体臭を記憶されてて変化に即気付かれるとかそれはまあ怖い。キモい。近付かないでほしい。しっかり警告しておかないとそのうち「これ円香が使ってるシャンプーだよね」つって持ってきてそれ目の前で一気飲みされそう。だれもそこまでは言ってない。

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 シャンプーじゃなくても、「近付くことが許されている」のだと理解していればやっぱりどこか官能的にも思えるコミュだ。実際、変わっていることを指摘しようと、理解を示そうとすると好感触になる。「じろじろ見ないでください」でも+1されるあたり、そこそこギリギリまで近付いても許して貰えるくらいの間柄にはなれているようだ。
 だからっつってやり過ぎたらガチでドン引きされる。
 わかろうとされること自体には心を許しながら、わかられるのはイヤという微妙な状態とでも評せましょうか。

 内容そのものは他愛ないけれど、どこか変化を恐れているよう感じられる樋口のことを思えば意味深にも感じられるコミュである。


Morning 15

 円香、笑って!
「……。
 ……ああ、やっぱり
 あなたに撮ってもらうのは無しで
 写真は自撮りにします
 サイトにはそれを使ってください」


・円香……笑って!
「……
 ん…………」

(よし、楽しく話せたな)

・俺の変顔を見よ!
「うわ……
 動かないでそのまま……
 ……………………ん、撮りますよ」

(まぁ、普通に話せたかな)

・かわいいよ!
「……何それ、最低
 そんなので絶対に笑いませんので」 

(うっ……しまった。別のことを言えば良かったな……)



・寸評。
 番号では15と振ってあるけども、実際のゲーム中ではランダム順に選出される。それでも、プロデューサーと樋口円香との距離感の表層であるモーニングコミュにおいて、トリを飾るのにあまりにも相応しいのではあるまいか。
 一つのエンディングのようでさえある。

 このやりとりと、この笑顔の前には寸評なぞ野暮もいいとこだろう。

 で。野暮いことをしていきますけど。
 これは共同作業だ。
 サイトに載せる写真ということはお仕事である。アイドルとしての。
 それを拒んでみせる樋口円香と、強引に迫るプロデューサー。それはこれまでのコミュに共通し、繰り返し繰り返されてきた関係だ。
 その末に、やっと笑顔にまで辿り着けたのである。
 プロデューサーが笑顔を引き出せたのか、樋口円香が笑顔をみせることができたのか、どっちかはわからないけども。
 その笑顔の意味はとても大きい。


 かわいいよ! を選んだPは「てめえ今まで樋口の何をみてきたんだ」つって適当に鉄拳制裁でも食らってて貰いたいけど(理解されなかったという事で素直に悪印象になる樋口も愛おしいが)、惜しくもグッドである変顔も味わい深い。
 あの樋口円香が、パーソナルな端末に、Pの肖像を保存したのだ。Pに借りを作ってでも充電を選ぶ程度にはスマホに依存している様子のあのコミュも想起したい。
 もしかすると円香は、このあとこの変顔を浅倉透に送信したかも知れない。「今、事務所にいる」とかなんとか添えて。



・総評。
 これまで散々見てきて、今さらこの論評の根底から覆りかねないことを言えば、そもそも、コミュ結果による親愛度上昇はどれだけ樋口円香が自覚的か、無自覚なのか。場合によっては、親愛度のパラメータ上昇はゲーム上便宜的な表現でしかなく、樋口円香当人の心理を表現したものではないなーんて可能性ももちろんある。
 何せ本人の気持ちなんてのは本人にしかわからず、本人でさえわからない部分も多いだろう。
 けれど、この、特に親愛度3以降の、結果のわかりづらさはシャニマス運営がその「本人でさえわからない部分」を尊重した結果であるようにも感じるのだ。トゲの鋭い口調は何もそうした性癖の持ち主のみに向けられたのではなく、彼女の人格と、彼女の大切にしているものと、彼女の変わっていくところと変わらないところ、変わりづらいところとを表現したからこその結果だと、そう感じるものである。
 この信頼感こそがシャニマスだ。アイドルの全てを輝かせると宣言し、我らを誘う人々の根底に流れているものだ。

 さて。
 ぼくは運命の出会いガチャを回す作業に戻ります。