ノクチルはシャニマスから投げつけられた時限爆弾かも知れないみたいな話。

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サイコー。


 ツンデレ気味なキャラクターからツン成分が損なわれていく度に落胆を味わっていためんどくさい性癖を持つ者どもよ! 今こそ集い眼にみよ耳にきけ! 樋口円香こそ我らにくだされた福音である!!


 という気分なんだけどこの気分はあんま本文には関係ありません。
 アイドルマスターシャイニーカラーズにおいて、4人とアナウンスされている新規追加アイドルのうち2人目が来たその当日の空気感としてメモしておこうかなみたいなやつです。

 まずはタイトルの通り。ノクチルとはそう名付けられた時限爆弾なのではあるまいかという話をします。
 ボマーに気をつけろよ。
 ノクチルは『幼なじみの四人組』との既報がある四人組だけど、じわじわと公開されてきた情報を参照してくと、花盛り女子4人きゃっきゃうふふ百合ん百合んみたいなフレグランスでなく、ちょっと濁ってる部分がある。
 以下にひとさまの指摘を引用させて頂くと。


 考えてみれば、アレだよな。
 幼なじみって『家が隣同士だった』『小学校あたりからずっと同じ学校を通ってる』『親同士の付き合いで顔を合わせることが多かった』等で、状況により繋がれた関係であり、自らが選んで結んだ関係ではないよな。とも感じます。

 自分で選んだわけでもなく気が付けば与えられていた関係。
 それって案外、脆いよな。ただ環境がそうであったからという結びつきは、環境が変われば簡単に壊れてしまうのでは。
 現実にも、義務教育という制度を経る私らには高確率で各々に幼なじみは存在するけど、小学校・中学校で友人だと感じていた彼らや彼女らと長じた今でも連絡を取り合ってるひとってどのくらいいるんだろう。

 だから。例えば。
 4人のなかの誰かが、その関係を重荷に感じていたとすれば。
 4人のなかの誰かが、その関係を維持しようと腐心していたからこそ成り立っていたとすれば。
 4人のなかの誰かが、その関係をよりももっと強い繋がりを望んでいたとすれば。
 4人のなかの誰かが、その関係を自然なものとして捉えすぎてて、いつかなくなるものと気が付いていないとすれば。

 意外なくらい簡単にほどけてしまいそうな関係ではある。
 結ぼうとするもの、ほどこうとするもの、或いはそもそも自然にほどけてしまうもの。
 そうでなくったって、環境てのは望むも望まざるもなく変わってしまうものであるし。
 んん。
 幼なじみというスタートラインは、ゼロじゃないだろうけど。プラスともマイナスともいえない部分があるのか。


 というのが解禁前の前情報でぼんやりと感じていたことで。
 透、円香と順にWING編のシナリオを読んでいくと予感めいたものが強くなった気がする。
 浅倉透はPと出会った過去と、Pがいつか思い出す未来とに想いを寄せている。
 樋口円香は変化することをただ厭っているように思える。強引に言えば現在にこだわっている。
 もうすでに、未来と現在という形で相克が起きている気もする。
 どうなんだろね。
 まあ私のカンは大抵はずれるんだけどさ。

 敢えて、初見のイメージで誰が気になるかをいえば樋口円香さんでしたけどね。
 何がいいって顔がいい。

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一目でわかったね。こいつァ逸材だなって。



・浅倉透のWING編シナリオを読んでみて。

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「車窓が面白いから」という理由だけで電車に乗ってた芹沢あさひと好対照

 体温がない。というのが最初の印象。
 興味や関心や情熱というものに無縁というか、大げさにいえばそういうモノが存在することそのものを体験したことがなかったんじゃないか。
 だから、形式から物事を理解しようとするし(だって、新人は偉い人には自分から挨拶に行くんでしょ?)、執着がないんでプレッシャーもなく緊張もしないし、目標がない割に言われたことはちゃんとこなすから感想が希薄で、何を考えているかわからないといわれる――どころか、「感想を誰かに伝えることが、こんなに喜ばれるなんて思いもしなかった」とかいう。言ってたっけ。言ってた気がする。まあ言ってなくてもわざわざ二枚のDVDの感想を伝えるためだけに休みの日を押して事務所まできたわけで。
 そのへんは多分それだけ、言わなくてもわかってもらえる関係性に今まで育まれていたからでもあるんでしょう。


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だから、『通じあってなかった』と気付いたときに意外なくらい傷付いてみえたのかしら


 欲しいものがないから、何かを選ぶだけの基準を持ってないから、与えられたものを唯々諾々と受け入れる。
 だから多分、浅倉透にとって、人生そのものがそんな感じのものなんじゃないのか。
 人生なんて大仰な言葉を持ち出したけど、これは実際に浅倉透自身のコミュの題名として採択されている言葉である。


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ZIN-SÄY


 どこまで続くかもわからないジャングルジムを、なんで昇るのかさえわからずにただ登り続ける。
 人生て割と苦難の連続でめんどくさいことだらけだよな。
 しんどいし、楽しくもないけれど、ただもうどこかそういうモノなんだととっくに理解しているから、しんどいとも楽しくないとも感じず登り続ける。
 ただ、これはどこまで続くんだろうという疑問だけを背負いながら。

 そういう浅倉透に、いつかのプロデューサーが言った『じゃあ、登りたくなったらくればいいよ』という一言はとても大きなものだったんじゃないか。
 ただ与えられるままに、そういうモノだとの感想以上のモノを持たずに、そこにあるからという理由だけで継続してきたこと。
 それに対して『自分で決めればいい』という選択肢と、『先に登ってるから』という道筋を与えられた。
 
 結果的に浅倉透は、自らの意思でジャングルジムを登ることを決めます。
『一緒に登ってくれるひとがいるなら』或いは『プロデューサーがいつか思い出してくれるかな』と、未来を向けての志向を始めたと解釈できます。
 自分が感じたことをしっかり相手に伝える。反射と反応を返す。
 これがおそらく、浅倉透が選んだ『透明な自分』からの脱却。


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 参加性を持って物事に望む。いいことだよな。喜ばしい。祝福したい。何目線の意見だかわかんねえけど。
 ただ。
『自分で選んだわけでもなく気が付けば与えられていた』ってのは、この文章中、既に表現として人生ではなく別のモノに用いた。
『幼なじみという関係』にである。

 んん。



・樋口円香のWING編シナリオを読んでみて。

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 あ。やべ。
 頻出するキラーワードに「あー。やべー。ぞくぞくする。このコまじ逸材。ぞくぞくするわ。ぞくぞくするわ。ぞくぞくするわ」みたいにばっか思っててシナリオそのものの感想が希薄だと今気が付いた。
 樋口女史のキレ味もそうだけど、その舌鋒に対してのれんに腕押し的に「えー。でも円香は才能あるし」「いやいやしかしアイドルってのはいいもんだぞ」つってタフネスをみせるPの態度が、シナリオ上の憎たらしさを軽減できてる気がする。ヘイトコントロールというか。
 このへん、Pの素質というよりも、シーズン2と3の合間あたりに、プロデューサーも(円香とはこう接するべきだろうか……)みたいな方針を定めているように感じる。概ね妄想だけど。
 あと、「ミスター・オールドタイプ」とか「ミスター・好青年」とかの変化球気味な口癖でキャラ立てにくるあたり往年のエロゲ(という呼び方が悪ければビジュアルノベル)技法に通じる気がする。あんまその方面には詳しくないから適当いってますが。
 あとプロデュース後にホーム画面戻ると大丈夫かなこの娘ほかの娘らとうまくやれてけるかなと割と素でハラハラする。

 まあでも。シャニマスというキャラの掘り下げや展開がやたら丁寧なベースにこういう娘がきてくれるということがね。個人的にね。とてもね。喜ばしくてね……。ツンデレ気味なキャラクターからツン成分が損なわれていく度に落胆を味わっていためんどくさい性癖を持つ者どもよ今こそ集い眼にみよ耳にきけ。


 性癖の話は別にいい。
 いいとしても。
 案外、樋口円香当人のWING編のシナリオから読み取れることはそんなには多くないのかも知れない。
 結局のところ、情熱という熱量を厭い距離を取ろうとし続ける彼女が、それなのに最大の積極性をみせたのはオープニングシークエンスの「浅倉透の安否を確かめる為に事務所へときた」シーンであって、最大の見所もここにある気がするからだ。
 そのへんの書き方はさりげに丹念で、シナリオの開幕は日のあるうちから始まり、カチリと事務所の灯りが落とされるまで待ってからお話が始まる。これはつまり、事務所のみえる位置で、樋口円香が日の落ちるまで待ち続けたか、もしくは日が落ちるまで逡巡したまま動き出せなかったか、の、描写と察せられる。どのみち相当な執念をみせられるわけだ。開幕から。

 彼女にとって最大の動機であり執着は浅倉透に他ならず、そしてWING編のシナリオではそこは微かに触れられるのみで、つまり彼女の核の部分はあんまみえてこない。
 なのでこっから先は大部分が妄想なのだけど。


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 浅倉透と樋口円香の両人は、情熱て概念に対して淡泊て点で一致している。
 けども違いも大きく、一方は「情熱という存在そのものを意識したことがなかった」と察せられ、一方は「情熱という存在そのものを(なぜか)嫌っている」
 誰が言ったか。スキの反対はキライじゃなくて無関心らしい。その言に則れば樋口円香は情熱という熱量には興味津々となる。

 じゃあなんでそんなに興味津々か。なんでそんなにキライなのか。
 樋口円香がいまのとこ最大の執着をみせたのは浅倉透という存在にである。
 執着とは情熱とも言い換えることもできる。樋口円香は浅倉透に情熱を向けているがその情熱そのものを厭っている。
 んん。つまり。
 情熱を否定し、遠ざからなければ、浅倉透に情熱を燃やしてしまい、幼なじみという一線と、同性という一線を越えてしまうから……?


 親方ァー。ここに百合豚がいますぜェー。
 オウ丁度いいってもんだぜえ。ウチのカカァが今日はトンカツを食いてえとか贅沢抜かしててヨゥ。


 ぶきぃー百合の何が悪いんじゃあー。
 まあ妄想はどうでもいいとしてさ。
 樋口円香が浅倉透に執着しているのはシナリオ上の事実である。だから多分、察するに。どこか。樋口円香は幼なじみという関係が儚いものだと勘づいているんじゃなかろうか。


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ある程度親愛度が溜まると浅倉のことしか聞かなくなるんですよこのひと(それだけ内面を見せてくれるようになったとも解釈出来るが。


 言われるままに唯々諾々と大抵のことを受け入れるくらい(そこまでではない)目的意識の希薄にみえる浅倉透は、それだけに何も言わなければずっとそこにいてくれそうな感もある。
 それでも、そんな彼女が情熱というモノに気が付いてしまったら。

 多少なりとも現実に妄想を寄せて考えてみると、幼なじみがアイドルとしてスカウトされてそれどころかデビューするなんざ相当な事件であって、変化である。
 付け加えるなら、しかも、あの浅倉がである。
 その変化を歓迎しないから――変化などして欲しくないから樋口円香は事務所の前まできたのではないか。
 だからこそ、浅倉を、自分を変えてしまいかねない情熱とかいうエネルギーを内燃させて活動するプロデューサーという人種にああした態度をとり続けるのでは無いか。


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(透に)悪さしないよう見張ること。この場合の見張るの意味とは。


 妄想を重ねると、ノクチル(と呼ばれる前)の幼なじみ四人組の中心は浅倉透なのではあるまいか。樋口円香の執着に加えて、市川雛菜からは慕われて。小糸ちゃんはカワイイ。
 浅倉透が中心となって繋がり合う関係なのだから、その中心が外れてしまえばほどけてしまう。円香のみせる執着と危惧は、透個人だけでなく、四人のその関係性に――? とまで考えるとだいぶただの妄想になってくるけども。


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この台詞はただの皮肉だろうけど。


 ただ、いずれにせよ、それでなくとも。
 まだ分量の決して多くないテキストのなかで、樋口円香はたまに『将来』という言葉を口に出す。
 樋口円香の感じていた「幼なじみの儚さ」とは、例えば卒業や就職といった将来に対する不安でもあるかもしれない。環境とは望むと望まざるとに関わらず好き勝手に変わってしまうものであって、そのあたりの将来の不安てのは時間さえ経過すれば必ず間違いなくどうしようもなく訪れるものである。

 そのあたりから、なんとなく。『時限爆弾』という言葉を連想するものである。


 浅倉透は、自分で選んだわけでもなく気が付けば与えられていたものから一歩を踏み出した。
 樋口円香は、自分で選んだわけでもなく気が付けば与えられていたものに執着をする。


 彼女は、変わりたいと望んだ。
 彼女は、変化なんかしたくないと嘆いた。
 ただ、変化なんて時間が過ぎれば勝手にやってくる。



 市川雛菜は、福丸小糸は、あと数日でそれぞれ解禁される。
 そのあたりからも時限爆弾て言葉を思い浮かべるよねとかいえばそれなりに文章がまとまる気がする。