ガルパン最終章第二話の作劇と**隊長がいかにおれを泣かせたか。

 劇場売店で。公開初日相応の熱気に溢れた売店にあって、よもや完売の憂き目にあってはならぬと慌て確保したグッズがありまして。
 これ。

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 私以外の誰も見向きしてなかったような気もするけど。
 この湯飲みのどこがいいか説明していい? いい?
 あのねー。この、絶妙な『要らねぇー……』感がすごくいいんですよ。

 この黒地に白に目を引く開催記念。居並ぶ主催・協賛の団体名の押しつけがましさ。
「そうよねー……なんか、偉いひとってこういう無用な記念品、作りがちよねー……」という何処に向けて訴えられてんだか一切不明のリアリティ。作中の各校関係者にもまず間違いなく配布されたであろうこの黒光りする湯飲みはきっと大洗女子の生徒会室あたりにも存在するはず。場合によっては角谷元会長もその唇を寄せたやも……まあよくて生徒会室でなくて校長室とかそのへんだと思うけどさ。

 この、ファングッズとしての訴求力をさえ犠牲にして作られた『妙にリアリティのある「要らねぇー」感』は、アニメグッズとしての範疇を少し逸脱して、そのはみ出した分だけ僅かばかりに「現実」を侵食してるんですよ。
 この湯飲みが存在する質量分だけ、ガルパンが現実にほんのすこし「実在」している。
 まーさすがに本気で言ってるわけじゃないけど。でもそういうお遊びというかさ。

 TVシリーズでの最終回放映時に、大洗で「祝 全国優勝 大洗女子学園」て横断幕が掲示されたり、あるいはKV-2ちゃんが撃ち抜いた大洗シーサイドホテルに掛けられたブルーシートとかさ。あれほどには粋ではないにせよ、それに類似した、フィクションで現実を少しだけ上書きする遊びに通じるよな、と。
 いやーほんと。いらないけどー。でもこれを所有してたら間接的に無限軌道杯関係者ですよ。いらないけど。
 ファングッズとして訴え得るのは、協賛の「淑女の会」で、そういえば戦車道って女子のたしなみとして扱われてるのにそのへんの描写はあんまなかったよねだとか(第一話の開会式的シーンでまさしく淑女な着物姿のご婦人方が初めてに近い描写だったのでは?)「或いはこの中に今大会のダークホースが紛れているのやも……」と嘱望されながらも特に波乱無く散っていったモブ同然高校の校名がきっちり全部掲載されてるところですかね。まあそれも月間戦車道あたりのが細かくフォローされてるけど。

 
 等と割と大事なネタバレにさらりと触れたあたりで本題です。
 そうなんよ。この記事は違いのわかるオタアピールのコーナーではなくガールズ&パンツァー最終章第二話のネタバレ感想です

おおきめの感想。

 ガルパン最終章第二話の最初の印象は「50分間延々ガルパンらしさでぶん殴られ続けた。そんな気分だぜ……」でしたが、その印象をもうちょい言語化しようとぼんやりしてたら「そんな作劇、アリかよ……。そんな作劇が、あっていいのかよ……ッ」て気分になってきました。
 なんのことやらわからんですね。順に言葉にしていきますと。

 まーガルパンらしさってそもそもが抽象的な言葉ですが色々あるわけですよ。大きいとこから小さいとこまで。ガルパンなのにパンツ出さないけど入浴シーンは可能な限りぶっこむとか。今回でいえば、あんだけ第二話はBC学園との殴り合いだぜ……!! て煽った広報をしておきながらそれは10分そこそこで済ませちゃうあたりとか。そうそう。TVシリーズはこんな感じだったなー……むちゃくちゃ気になる引きなんだけど次週冒頭であっさり解決してその回でまた気っになる引きで終わるの繰り返しがさー……つってなんだか遠い目をしちゃったりとか。

 まあそういう細かいのは置いといて。
 ガルパンらしさの大意として多くの人にご賛同頂けそうなのは「リアリティとフィクションのダイナミズム」みたいな感じじゃないですかね。戦車の描写は細かいところまでこだわって、そうした積み立てを足場にしてド派手なアクションシーンでみごとにかなぐり捨てる。
 小さなリアリティを積み重ねて、大きな嘘でそれをどばがーんと爆砕する。
 その落差や緩急に振り回されているうちにいつのまにか物語そのものに引き込まれている。
 今回ほどそれが作劇に意図的に、ミスリードと言っても構わないくらいに利用されたのは初めてなんじゃないですかね。

 ガルパンらしさってのは良かれ悪しかれな部分もあると思うんスよ。まあガルパンだしなあーと苦笑い気味に流されるシーン。良くも悪くも言い訳として機能しているシーン。
 今回でいうなら知波単学園の「ちょっと待て。それは本当に突撃といえるのか……?」「はっはっはー。馬鹿だなあ。名前に突撃と入っているじゃあないか!」「それもそうか。よし突撃!!」というシーン。
 なんじゃそら。ではあります。
 まあ知波単だし、ガルパンだしね。と好意的な半笑いで済ませることの可能なシーンではあります。
 実際、そのシーンに至るまでに大なり小なりジャブなりストレートなりのガルパンらしさで打ちのめされてきた私の感性はすんなりそれを受け入れます。まあガルパンだしねーと。
 そしてお話は進み、ガルパンらしく、知波単らしからぬ知略が完全にハマり、あの大洗女子が、あの西住みほが、知略において常に後手に後手に後手を迫られるシーンが連続します。
 いつもの突撃を封印し、戦術アリを思わせ機先を制し持久戦へ持ち込み、高台への進行を徹底阻止し、河川地域へ誘導する。
 後世の人間からは物笑いの種にしかならないような弱小戦車が一矢報いてみせる。それもリアリティとフィクションの往復幅跳びでありガルパンらしさではありますが、一方であの知波単らしからぬ部分がある。

 だからなんですかねー。
 あの「知波単のラバさん」の歌唱突撃でなんかこう。泣けてしまったのは。

 わざわざスピーカーまで持ち出しての朗らかな熱唱。だからアンタら夜戦でゲリラ戦やってんだろそんなことして平気なのかよと。でももうほんと楽しそうだからあらゆるツッコミは無用のものと感じられる。唄がまたいい。すごくいい。
「わたしのラバさんほんとにいるのかな」 あー。直前まで戦車がどうのこうのっつってた歌詞なのにこの部分ほんと少女ー。そうかー。これが戦車道かー。みたいなさー。
 まあ。ほっとしたんだと思うんですよ。
 知波単らしからぬ「勝つこと」を目的とした立ち回りに加えて、先の試合も、敵対戦車への偽装による欺瞞工作を戦車好きおじさんなら「あああ知ってるグライフ作戦だあああ」てはしゃいじゃう一方で、え、それは……主人公チームに許される立ち回りなの……? つってちょいと引いちゃうくらいに功を奏しててで。
 戦車戦に関しては割とガチ目なシーンが続いてたからさ。
 そこで「いや試合最中やろキミら」という、底抜けに朗らかなあのシーンでさ。ああ、これがガルパンだ。これが戦車道だっつってほっとしちゃって、いうなれば緊張が緩んだついでに涙腺も、な。なんか泣けてな。

 だからこそ「こんな作劇ありかよ……!」と思い知らされることになるんだけど。

 知波単らしからぬ、という感想も逆にいえば知波単らしさってなんだってのの認識に繋がるわけよね。それも含めて「知波単だから仕方がない」「知波単らしくない」「さすが知波単だ」と。あそこに至るまでに、幾重にも意識化に「知波単らしさ」というものをすり込まれてきた訳です。
 その極点に訪れるのが。そうですね。あの。

「は! 転進でありますね!」
「違う! これは――撤退だ!!」

 な、訳ですよ。
 泣くわ。
 そりゃ、泣くわ。

 硬軟あわせてガルパンらしさを、戦車道らしさをスクリーンに投影してきた今回の知波単に対して親近感を、好意を抱かないガルパンおじさんなんているのか。いやしねえよ。
 それがですよ。
 改めてほんと、そんな作劇ありかよと思いますな。これまで散々「まあガルパンだしね」「まあ知波単だしねー」と、観劇する私らの固定観念を利用してエクスキューズめいた展開を敷いておきながら、観る側に改めて「ガルパンらしさとはなんだ?」「知波単らしさとは何か?」と意識化に植え付けつつ、それをブラフのようにしてこんなカードを切ってくる。
 もう完璧に虚を突かれたし。それだけに、西隊長の決断に完璧に心を撃ち抜かれた。

 そしてそれが翻ってガルパンらしさとは何か? という回答にも繋がる鮮やかさがある。


 西隊長の決意に涙腺をぶち抜かれたあとも、少々疑問が残ったんですよね。
「勝つことこそが、西住さんへの恩返し――!」という第二話を結んだ西隊長の台詞。
 改めて考えると、西さんが大洗に感じてた恩義って何よ? て疑問がある。
 逆ならわかるんですけどね。劇場版にて、再度の廃校危機回避には知波単の助力だってたぶん不可欠のものだったでしょう。大洗は知波単学園に分配方式ではあれ大きな借りがある。
 でも、逆に、大洗が知波単になんか施しをしたことあったっけ? と。

 たぶんその恩義ってのは、TVシリーズでの大洗女子優勝にまで遡ると思うんよね。
 あの優勝が戦車道界隈に与えた影響てのはそりゃーもーでかいはずで。優勝常連校が常に上位を占めていた閉塞を、久々参加の出場校が、しかも大した戦力を保有してない高校が、しかもしかも名だたる優勝候補をことごとく打ち崩して優勝へと至った。
 あの優勝でもって、各校はもう保有戦力を緒戦敗退の言い訳にできなくなった。

 で。おそらく知波単学園はその偉業に対し真っ先に敬意を表しにいったんじゃあるめえか。円盤のおまけストーリーで電報打ってたりしたよね。
 廃校阻止という義と知勇とを持ち合わせた尊敬すべき相手と知波単には映ったろう。そこからの交流を経て、合同練習試合に参加するに至ったんだろうなと。
 今思い返せばなんかほんと急にいたよな。知波単。劇場版冒頭の交流試合で。それまでマジのガチにワンカットしか出てなかったのに。

 交流試合と、高校連合としての経験を経て、まずは末端である玉田に変化が兆し、功奏して、その変化は知波単の戦車道そのものに及んでいく。
 西隊長はその変化を好意的に捉えてたはずで。但し、その捉え方はただ全面肯定というよりも「(やがてこの隊を率いる)後輩の試行錯誤を奨励し好ましく考えていた」くらいのものだったんじゃあるめえか。
 案外どっちつかずだったんじゃあるまいかと。
 最善を試行錯誤し、その結果の変化なら望むべくもない。けれども皆が伝統に殉死するを選ぶならそれもまたよしみたいな。
 和を以て貴し。
 我々はこのままでいいのだろうか? よくない、いやいい……と悩むシーンは実際あれども、隊長権限としてそれを断行したことはなかった。


 だからあの、崖へと滑落したシーンでみせた、凜々しく透徹した表情。その裏側には、煮え滾るような悔恨と悔悟と、峻烈な自己叱責が内在し渦巻いていたのではあるまいか。


 部下達は敵手の策略を看破していた。なのにそれを、隊長として掬い上げてやることが出来なかった。その挙げ句がこの窮状だ。
 後輩の変化を望ましい形に導いてやることができなかった。

 現状に疑問を持ちながらも、その変化を後輩にばかり委ねてはいなかったか?
 伝統を重んじていたのは素振りだけで、輪を乱し責を負う覚悟がなかっただけではないか?
 後輩の意見を尊重する振りをしながら、責任を後輩に押しつけていただけではないのか?

 試合開始前、西住どのへなんと言った?
「よもや勝とうとは考えてはおりませぬ」?
 それは勝利を諦めず戦い抜いた彼らへの冒涜ではないのか? 
 我々は弱いから勝てない? 勝つことを諦める。それが臆病でなくなんだというのか。

 私は、後輩に何かをしてやれたのか? 後輩の為に私自身が何かを為せたのか?
 後輩を中心に知波単は変わりつつある。私は、変われたのか? 変わろうとしたのか?
 
 その奔流が、あの瞬間、決断となってほとばしったのがあの「撤退だ!!」という命令だったのではあるまいか。
 勝つ為への最善手を断行するという決断である。
 西隊長に苛烈に芽吹いた、自らも変わるのだという決断である。


 そりゃもう、泣くわ。
 知波単らしからぬというびっくりが思わず涙腺から涙滴を押し出したのではなく。知波単が知波単らしくないという行為でもって最大威力でガルパンらしさを体現したのだわ。
 いうなれば、知波単学園が大洗女子より受けた恩義とは「変わるきっかけ」なのだ。
 だからこそ第二話は「勝つことこそが、西住さんへの恩返し」として結ばれる。
 勝つことを諦めず、試行錯誤を重ね、その過程で他者を認め、自らの理想型を探し見出す。
 それこそが戦車道……。


 そういう意味じゃ、BC学園が一回戦の、いうなれば今作のオープニングアクトであったってのはいかにも象徴的で脚本的意図を思わせる配役であることよな。
 彼女らはまさしく、変化の必要を意識しながらもそれに徹することが出来ず、それが直接の敗因となった。そして朧げながらも自分たちの理想形を意識し始める。
 偽装し仲違いを演出するというのもなかなかエグい立ち回りだけど、良薬が苦かったり忠信がうるさかったりする感じに、大洗女子は先達として正しく先導したとも申せましょう。


 第一話でザッピングされた各高校の描写がいかにも象徴的であるように、最終章と銘打たれた今作は、換言するならば卒業式なのでありましょう。
 これまで戦車道を歩んできた女子達が、自身に兆した理想に向けての第一歩を、証明として儂らガルパンおじさんに披露する式典。まあ赤の他人にそんな義理もあるまいが、でもなんつったって儂らはおじさんだし。
 公開初見時には「そんな理由かーい」と総ツッコミの対象となった、桃ちゃんの留年阻止、要するに卒業への手助けという理由も、最終章最終回ではその理由に泣かされるに違いありません。
 たぶんな。
 私のカンは大概はずれるからなあ。

 あー。卒業したくねえー。


こまかめの感想。

 他、細かい感想を思い出せる限りの時系列にメモしておきます。


・3分でわかるガルパン今回もやるんかな。あのもはや白々しく聞こえてくる西住ちゃんの「初めまして」な茶番もやるんかなとか思ってたら桃ちゃんが出てきた。
 たぶん三話冒頭はサメさんチームがやるな。

・セクシー・ザ・カトラス。カトラス・ザ・セクシー。

・「そんで結局、押安の仲違いはどのへんまで演技なん?」という疑問を一発で氷解させてくれるやりとりは脚本的にも鮮やかではあるけどもな。あるけども。

・BC学園の仲違いは学園の創立にまで根差す話である。
 戦車道チームとしては欺瞞工作だったとしてもそれは急ごしらえのものではないのか。
 というあたりまではこちらも予想通りで。であればこそ「身分の差を超えて結託しなければならないほどの、勝たなければならない理由が彼女らには出来たのだ。その理由こそが第二話の軸となるに違いない」とかいう予想は見事に空振りだったけど。

 最初にガルパンらしさを感じたのはここだったな……そういう細かい動機付けを細かいこととして悪く言えば大雑把に片付けていくところが。

干し芋ばかにすると元会長が怒るぞ。珍しく。
 もしくは干し芋みたいな連中と言われても褒め言葉として受け取るか。いいじゃん干し芋とかなんとかいって。

・自己評価の低さからかやたらと体張って貢献したがるし、それで失敗したら割と長いこと引きずりがちの秋山殿がかなり前向きに立ち直ってるあたりに成長を感じるように感じます。

・偽装戦車による欺瞞工作! 知ってるぞおじさん知ってるぞグライフ作戦よねM10に偽装したパンターだよねワールドタンクミュージアムのシークレットで入手したことあるから知ってる!!

・というはしゃぎっぷりに即冷や水かぶせられる勢いで効果的。

・ここでモブソミュアがモブARL44にするりと横付けしての接射があざやかで思わず「巧いッ!!」てそれこそ観客席のモブ戦車道に詳しいおじさんみたいな呟きをしてしまいそうになったりさ。
 戦車道のスポーツ感でてていいなあと。

・全体的に受験組のソミュアの動きが見事だったな。ARLは長砲身でスナイパークラスだから見せ場を作るのが難しかったか。
 作劇的な意味もあるけどこんだけの乱戦下にあってはなあ。

・マリーさんの一挙動毎に「あれ。なんか今すごい動きしなかったか」「あれ。マリーさんなんか今すごい動きしなかったか」て思ってた気がする。

・砲塔に弾丸を掠らせることで射線をずらすとか、戦車道にもパリングがあんのかよ。
 ぐるぐる回るアヒルさんチームも可愛らしいけどもこれ絶対真似するよねアヒルさんチームなら。
・戦車道パリングとか、フラッグ車に体当たりして庇うとか、安藤ソミュアの野卑ながらも技術に溢れる操縦マジ新境地。

・はしごがわりなったり壁代わりになったりで工作車みたいな立ち回りでしか活躍できないマークⅣちゃん。
 工作車ってそういう意味じゃないです。
・マークⅣは塹壕突破を目的としているから後代の戦車と比べても全長が8mで長めなのだ。西住ちゃんの乗ってる4号戦車は元後方火力支援型で大きめなんだけどそれでも7m。

・マリーさんのルノーFTちゃんが追いかけ回していたのはフラッグ車であって、しかもなんだかんだで大洗も車輌を落としているから最終的な印象ほどには大洗安泰の勝利でなく、寸前までわからない部分があったわけだ。
 いずれ大洗は出血を覚悟の上で至近戦を挑んだわけだけど、指揮の暇がなくなる乱戦はそれこそ各々各自全車両それぞれ作戦立案できる大洗のもはやお家芸であると。

・今回やたら食べるよね。
・やたらケーキに執着してた冷泉さんの報われっぷり。
・ケーキ祭りから即クレープでおしるこも入れるという戦車道JKの別腹力。
(シーンが連続してるだけで一応日付は変わってる?)
・前作かりゃい! 今作しゃむい!
 低燃費理知的キャラなので誤解しがちだけど冷泉さんは「潮を感じたい気分だったんだ」とロマンにも走りがちな娘。

・関係ないけど、上映後に「えーと、カヌレがでて、ガレットがでて、サバランでいいんだよなアレは。それから……」つってマリーさんの食べてたケーキをリストアップしてたひとがいたんだけどそのスジの方でしょうか。

・アリクイさんチームが遊んでたのはフロントラインでええのんか。タイトーのやつ。
 持ってるゲーム機は正直見当が付かない。

・サメさんに驚かされるウサギさんは定番化するんですかね。
 追っかけ回されて右に左に響く音響効果はさすが7.1。

・島田さんちの娘さんがどの高校に転入するかは最終章で大事なカードになる話よね。
 とは思ってたけど、そういえばありすちゃん転入先探してる話は円盤の映像特典でしかやってないんだった。そこんとこにしっかりフォロー入れるのは親切な話だ。

・あのお話で、「西住さんとはライバルでいたいから」という理由で大洗を去る島田ちゃんに、角谷元会長は「まあわかってたけどねー」て姿勢だったようにみえるんですけどどうなんですかね。
・そういえばその時点から桃ちゃんは「我々の卒業後も今後も憂いのないよう大洗の戦車道を盤石なものに」つって必死さだしてた気がするけどどうだっけ。

・ボコミュージアム相変わらず客足乏しげなの不安なんですけど。
・アトラクション受付嬢の相変わらずの棒台詞。
・年間パス自費購入とかいうファンの鑑。
・ボコライドのときの壁面や天井が戦車の天板みたくみえたんだけど、あれはなんか元ネタがあるんかしら。単に3Dデータ流用しただけ?

・「早く転入先決めて、それで、もう一度西住さんと戦いたい!」と笑顔で言うありすに対して即答できず少し間を作った西住ちゃん。と、少しひっかかりのある演出。
 西住ちゃんは今は前向きにせよかつては戦車道に対し鬱屈とした感情もあったわけで、それに対する島田流の真っ直ぐさが少々眩しかったか。
 追われる立場であることに自覚が足りなかったか、島田流の真っ向勝負を受けられるほどの自負が未だ芽生えてないのか。
 ともかくも返答は笑顔ではあった。

・氷山空母ってなんだ。銀英伝みたいなことマジでやった国があんのどうせイギリスだろうけど。
ピースボートドレッドノートって似てますかね。

・何かと家庭環境に問題を抱えがちな大洗女子。
・桃ちゃんち貧乏話は正直蛇足に感じなくもない。
 それと知りつつ膨大な作業量任せてた角谷元会長の鬼の処遇みたいな話になんない?
・直前のケーキまみれからのパン耳という落差(うまそう。
・画面右から響く幼女の鼻をかむ音はさすが7.1。

干し芋自家生産してるんですか元会長。

・まさか「コアラの森はねー。たぶんね、コアラが隊長やってるんですよ」とかいう与太話そのまんまだとは思わないじゃない。
戦車砲のロングスケールのスナイピングの時間差ってやっぱ迫力あるよね。美しい放物線じゃ。
・しばらく絵描きさんの間で流行する青師団(の制服。
・今なんか多砲塔戦車うつってませんでしたか他砲塔戦車。

・結局、いつものメンツが勝ち残ってモブ高校はモブから脱却できず、その点を今作の欠点としてあげる向きがあるようで。
 言いたいことはわからんじゃないけど、今作のテーマは卒業であって、その卒業は桃ちゃんだけでなく各校にも降りかかるテーマなのだ。我々と戦車道を歩む各女子とのお別れの儀式でもあるのだ。
 だから、この映画のスタッフがその点をおざなりにするような、言うなれば一部ファンをがっかりさせるような、そんな真似をするはずがないじゃないか。

・というのは前回の反省を経て思うことである。
 いや一校くらいは初戦敗退するんじゃないかなダークホースが出現するんじゃないかなとか思ってた。

・でもサンダースはやっぱ噛ませになるんじゃねえかなって……継続の。

ガルパンでみたことのない戦場でガルパンで観てみたい戦場に個人的に「砂漠戦がみたい! 砂漠だっつってんのになんでか雪化粧しててもいいよ!」とか思ってたけど継続さんがちらりとやっちゃったね。

・うーわーあー。南方だぁー。南の戦争だあーー。
・しかも雨が降ってるー濡れている、どこも濡れているつって外人部隊が発作的に自殺しちゃううー。

・密林ぽい交戦はいちおう劇場版でもやってたけど、そこだけを丹念にステージにする展開は今回が初めてか。しかも夜戦。
・さすが戦争てのは人類最大の御祭騒ぎで、モチーフには事欠かんのですなあ。

・「よもや勝てるとは思っておりません」という西隊長に対し
「私たち、強くなんてなかった。今もそう。でも諦めなかった」と応える西住ちゃん。
 さわやかなやりとりではあるが、このやりとりこそが後の「撤退だ!」という決断を引き出すのだと思えばとても大事なシーンである。

・それはそれとして西住ちゃんにはこういうとこがある。
 素直で真っ直ぐだからこそ、相手が見せた甘えを柔らかく拒絶してしまうようなところが。

 このやりとりも言葉を換えれば「勝つつもりはそんなにないよ」「うるせえ全力でこいや」な訳だし、前にも「降伏という選択肢も……」「それはあり得ません」とかーさー。

・何が言いたいかというとあんみほくれ。みほあんくれ。

・ひざまくら。

・映画初見てのはいいもんで、スタックしたりのいちいちでここでリタイアになったりするんかなどうかなってハラハラしてしまったりが楽しくてさ。
・ここでエンジン酷使したのがまさかのP虎退場の布石になってたりとかしない? しなさそう?
・第一話から続いてそどまこが濃厚ですこと。

・ラバさんってなんだ。ラバウルとなんか関係ある? と思って検索したけどしみじみいい歌ね。
・スピーカー取り出したのって劇場版でカメラ構えてたコ?
・詳しい人なら月の見え方で緯度経度割り出せるんちゃう? ムリ?

・炊き込みご飯はタケノコご飯でしたかね。
・おいしや牛乳。オイ車とかけてる?
 コンビニご飯で済ませてるところがなんとなくスポーツ部女子っぽくて好きなんですよね。
・映画の話から奇襲を察知できるウサギさんチームは相変わらず映画オタ班なのか。
・それこそ密林とワニって元ネタありそげなシーンだけど……。

・迷彩柄のアヒルが赤いバンダナをしてたような気がするのは気のせいだったか。怒ってたようにみえたのは気のせいだったか。
・無限軌道杯っつーからには戦車でない無限軌道ネタぶっこんでくるんだろうなとか思ってたけど内火艇とは。

・ポルシェティーガーのことを通称で呼ばずきっちり「ぶいけーよんごーまるひと」と呼ぶ知波単の几帳面さ。
 P虎ちゃんは「ポルシェ博士が(後にティーガーと号されることになる)次期戦車のコンペへ出したけども採用されなかった試作機」でポルシェティーガーという呼称はあくまで通称なのだな。

・そのくせに三突こと三号突撃砲を正式名称で「三号……あー、なにがし!」て呼んだのはなんでなん? やっぱ突撃って発声したらみんな条件反射で吶喊しちまうから?

・P虎が……旧日本陸軍車輌でP虎を……しかも知波単が……。
 最終章全話通じても最も驚くべきシーンがここかも知れないのだわ。
・ちゃんとエレクトリックなエンジンが射貫かれた感じの効果がいいですね。

・一撃離脱で高台への侵攻を阻止 → 開けた河川地域で迎撃姿勢 → 伏兵での奇襲 → 二輛のみ迎撃にあたらせ残りはフラッグ車の防衛に → 夜闇からの急襲肉薄 → 曳光弾掃射 → 守りの要を見事撃ち抜く。

 ここまでの展開であの知波単が、あの大洗を戦術面で完全に後手に後手に回らせてるのがすごい。むしろ西住ちゃん的には、知波単の勝ち筋は唯一奇襲のみだから迂闊に仕掛けず一つ一つ策を潰すつもりで受けて立ったのかな。実際対応と指示が的確なうえにはえー。

・そこからの乱戦と離脱と、夜の闇と密林との、初見では何が起きてるのか把握しきれないというか、敢えて視聴者に情報を伝えるよりも混戦は混戦のまま伝えるのだと割切ったような絵作りと展開はもはや新境地だわ……。
 第一話で正直消化不良で食い足りなかった戦車戦が今度はほんと贅沢……しかも完全に戦車戦を通じたストーリーテリング……。

・戦車戦のみならず、細かすぎるネタや元ネタのありそうなシーンやキャラクターの小芝居などで過密な情報量を叩き込んできて観る側にオーバーフロー起こさせるのはアニメじゃジブリくらいしか出来なかった手法にも感じるけどそれはさすがに言い過ぎかしら……。映像による視覚情報密度って点じゃ無論ジブリには及ぶべくもねえけど、背後にある情報量って意味じゃほんと掬いきれない……。

・そんでもう、「撤退だ!」に関しては言うことねっす。散々言ったし。
・「すごいね、福ちゃん」「そうだね。でも、絶対勝ちたい」のさ。ほんと、競いあうことでしか辿り着けないさわやかさがな。
 いつだか私はアヒルさんチームを、搭乗車輌の性能差を一切言い訳にしない潔さがあると評したけど、もうこの瞬間、そんなもん完全に置き去りにした相互いに認め合う純粋さに到達してるよね。八九式vs九七式でなく、アヒルさん対福田隊なのよというかさ……戦車道というフィクションを生み出したガルパンはそのフィクションのなかで自ら戦車道というものの精髄に達してるわけですよ……。

・ところで実際に撤退するさいに誰かキューポラ上で気絶してるコがいて、確かいちばん突撃にこだわってたコにみえたけど。アレは「うるさいコが口出しできない状態だったので撤退も速やかにいきました」的こまかなリアリズム描写なのか、西隊長から飛び出した撤退て言葉の直撃に耐えきれず意識を失った描写なのかどっちなん?


・で。まあ。
 敢えて「それで第三話はいつなんですか」とか言わないよ。
 待ちます。もう、おれの寿命がある限り待ちますよ。ほんと。次が楽しみだぜ……。